大会結果

2024
西日本ジュニア
体操競技選手権大会

福井県・鯖江市

スコア・得点表

Aクラス

個人総合 男子 女子
種目別 男子 女子
Eスコア賞 女子

Bクラス

個人総合 男子 女子
種目別 男子 女子
Eスコア賞 女子

Cクラス

個人総合 女子
種目別 女子

審判長総評(男子)

男子審判長

三浦 純一

適用規則

● Aクラス

・2022年版中学校男子
・適用規則
・花丸ルール適用

● Bクラス

・2022年版体操競技男子小学生規定
・「あん馬1」を適用
・花丸ルール適用

所感

Aクラス・Bクラスとも、新しいルールが適用されて3年目の大会となった。特にBクラスの規定演技が2年前、17年ぶりに改定され、苦戦する選手も多いと予想していたが、概ね要求された規定演技を行っていた。選手・監督が努力を重ねた結果だと考える。規定演技の内容が変わっても、目指すべきは「美しい体操」であり、今後も継続して美しさを追求してほしい。
以下、各種目主審(D1)からの報告をまとめる。

◆ ゆか

● Aクラス

全体を通して、宙返りの高さ不足、ひねりの足われ、つま先がのびてない実施、ひねり不足が多くあったように感じた。丁寧な実施を心がけて、演技の完成度を高めてほしい。

《種目別優勝者》
氏名…佐藤陽向
所属…おかやまジュニア体操スクール
Dスコア…4.2
Eスコア…8.65
加点…0.3
得点…13.15
演技構成…後転とび〜後方伸身宙返り3回ひねり、後転とび〜後方伸身宙返り5/2ひねり〜前方伸身宙返り、前後倒立、開脚座、マンナ、伸腕屈身力、3ヶ所の倒立位を意識しているものの、ロンダート〜後転とび〜後方伸身宙返り3回ひねり、後転とび〜後方伸身宙返り5/2ひねり〜前方伸身宙返り、前後倒立、開脚座、マンナ、伸腕屈身力、3ヶ所の倒立位を意識しているものの、ロンダート〜後転とびで膝がぬけていないものもある。
全体を通して、倒立1回ひねりの倒立の止め、後転倒立ひねりの倒立位のおさめ、後転倒立ひねりの倒立のおさめが甘い演技が多かった。演技全体を通して丁寧な実施が素晴らしかった。

● Bクラス

多くの動きの中で、膝、つま先がのびた演技を評価した。具体的には、膝の曲がりやリズム不良のない両足転回、宙返り2回ひねりの倒立位を意識した演技を心がけてほしい。
また、きれいな着地ポーズを意識してほしい。
また、マンナへ上げる際の膝曲がりも多く見られた。簡単な動きでも、膝、つま先を意識した演技を心がけてほしい。

◆ あん馬

● Aクラス

【Dスコアに関して】
Dスコア1.3から3.8まで様々な内容の演技構成がみられた。グループⅡ・Ⅲの技において、技の完了の後、180度以上の旋回または転向に続けられていない実施は難度不認定とした。終末技で倒立下りを使用した選手において、脚をあげる際に明らかな力の使用・静止・脚の下がりがみられた。
スコアの問い合わせは4件あったが、いずれも上記のどちらかに対する問い合わせであった。

【Eスコアに関して】
U-15適用規則第3条4に記載の加点項目のうちあん馬特有の3つの項目を満たしている選手には、難度に関わらず高いEスコアを与えた。
一方で、基本姿勢の欠点や馬体に足が当たる・擦れる等の欠点が目立つ実施は厳しく評価した。

【所感】
下向き転向技・シュピンデル技・開脚旋回技など多種多様な技を取り入れた演技構成がみられたことが印象的であった。決まった種類の技にこだわらず個人に合った技を選択することは良いことである。各々が自身に合った技を習得しつつ、あん馬の基本である旋回・交差の大きさ・美しさに磨きをかけてほしい。来年度はさらなるレベルアップを期待する。

《種目別優勝者》
氏名…塩田暁登
所属…アインス体操クラブD
Dスコア…3.8
Eスコア…8.90
加点…0.3
得点…13.00
演技構成…正交差、横向き旋回、Dフロップ(SSL)、シュテクリB、馬端中向き旋回、マジャール移動、一把手上縦向き旋回、DSA倒立3部分移動270度ひねり下倒立3部分移動270度ひねり下り
高難度の演技構成でありながらも、美しい姿勢とスピード感のある旋回を保持していたことを高く評価した。
移動技で大きく角度逸脱することなく、ほとんど力を使用せずに終末技を行った余裕のある実施を高く評価した。
Dスコア・Eスコア双方で塩田選手が最も高い得点であった。

● Bクラス

演技実施者61名中、落下・転倒等の大過失を伴う実施は4名のみであり、多くの選手が練習の成果を十分に発揮できていたことを高く評価した。
優勝者の得点は9.800であり、実施も素晴らしく、腰高で身体を一直線に伸ばし足先まで揃えられた美しい姿勢で描きつつ、一定のスピード感で10周旋回し、10周終了後の正面支持で腰高のまま瞬時静止をアピールするような抑えが見受けられ、美しさ・コントロール性を高く評価した。
しかしながら、全体的に膝・腰の曲がり、足の曲がりや足の開きといった基本姿勢での欠点が目立った。
本大会の規定演技の内容は「中央旋回10周」というシンプルな内容であり、審判員は基本姿勢の欠点を見逃さずにチェックを行うため、高得点を与えられなかった選手が多く見受けられた。
今後の練習においては、どの角度から見ても美しい基本姿勢を保ち旋回を実施しているか、ぜひ審判員の視点を持ちながら細部にわたり確認・指導に努めていただきたい。
来年度の西日本ジュニア体操競技選手権大会では、全員が正しい基本姿勢を習熟し十分に「美の表現」がなされ、西日本全体のレベルが向上されていることを期待する。

◆ つり輪

● Aクラス

〇 伸腕屈身力倒立の肘の曲がりやベルトに体重がかかる実施が多かった。
〇 倒立転倒後などに実施される、予定していない脚前挙の静止不足が多かった。
〇 グループⅢ…振動からの力静止技について、熟練性に欠ける実施が非常に目立った。(特にけ上がり、脚前挙、ホンマ脚前挙、脚前挙、支持の肘曲がり、足先の下がり)
〇 一人一人のアップ時間が長く、5分を越えてから演技を始めるケースが非常に多かった。(コーチが時間を計測し、時間通りに始められたのは1/18組のみであった)
〇 全体的に着地の準備が不十分であった。

〇 特別要求の一つである正面・背面水平懸垂および十字懸垂はほとんどの選手が満たしていた。
中でも背面水平懸垂は最も実施されていた技で,日頃のトレーニング成果が十分に発揮された選手と、足先の位置や腰の曲がり、静止不足が気になる選手に大きく分かれた。
どのような力静止技でも、良い姿勢、正確な静止時間へのこだわりは、今後の発展技習得においても同様に活きてくるため、両者共により一層トレーニングに励んでいただきたいと思った。
振動倒立技は倒立後に腰が45度以上曲がったものを全て不認定とした。
これにより、一般規則に明文されている特別要求が満たせず、ニュートラルディダクション(ND)が発生するケースが複数あった。
また、屈腕実施はB難度で認定したが相応の減点が生じていた。
全体的に熟練性に欠ける演技が多いと感じられ、目的が特別要求、グループ要求を満たす傾向にあったと考えられる。
振動倒立技の認定でNDを回避したが、Eスコアの減点が上回るケースが非常に多く、この点はグループⅢに関しても同様にいえる。
また、ジョナサンやヤマワキといった振動系の高難度技は高さや回転力不足、一部の選手にはスイング時の足の乱れが見られた。
特別要求・グループ要求、そしてDスコアアップに力を注ぐことは高得点の獲得に必要不可欠であるが、未熟練な実施は結果的にマイナスになることを考慮しつつ対策を練っていただきたい。
また、難度指向に走らず、技術研鑽の重要性を十分に理解できる選手が育成・輩出されることを期待している。

《種目別優勝者》
氏名…藤田兼理
所属…アクバスポーツクラブ
Dスコア…3.9
Eスコア…8.95
加点…0.4
得点…13.25
演技構成…背面水平懸垂、ホソマ脚前挙支持、前方伸身懸垂回転、ジョナサン、ヤマワキ、後ろ振り上がり支持、脚前挙、伸腕屈身力倒立、後方車輪倒立、後方車輪倒立経過、後方伸身2回宙返り
一つ一つの技が美しく、正確な技術によって実施されていた。
終末技の着地はわずかに乱れたが、止めようとする姿勢が強く現れていた点についても将来性を感じた。
また、ホンマ脚前挙支持の肘の伸びや回転コントロールは、上の世代にも引けを取らない良い捌きであった。
ジョナサン・ヤマワキの高さ、後方車輪倒立以外の減点がほとんどなく、Dスコア、Eスコア双方において高く評価できる素晴らしい演技であった。

● Bクラス

〇 無駄な振動なく肩転移が実施されていた。
〇 振動系の技の膝・つま先に意識が行き届いている選手が多かった。
〇 終末技の高さ不足が感じられる選手が多かった。
〇 アップ時間が長く、演技全てを一通り確認して本番に臨む選手がほとんどだった。
選手の能力によって演技の出来栄えは様々であったが、後ろ振り上がりの肘伸ばし、静止技の静止時間、着地などを丁寧に実施しようとする意識が見受けられた。
しかし、これらは部分的であるため、全てを丁寧に実施できるようトレーニングに励んでいただきたい。
また、規定演技に取り組む際の美しさと力強さの追求は、上位クラスに進んでも大切に持ち続けていただきたい。
一方で、倒立、開脚前挙の姿勢や倒立から支持を経過して逆懸垂に下ろす際の肘とスピードについて、高く評価できるものが非常に少なかった。
特に、倒立から支持へ下ろす際には、もう少し力強さを表現し、運動をコントロールしてほしいと感じた。しかし、これらは発育・発達過程にあるジュニア選手には難しいポイントであり、力に関しては努力がなかなか実を結ばないジュニア期特有の苦労もあることは容易に想像できる。
そのため、選手の将来性を見据えたトレーニングと、努力する姿勢を大切にし、指導にあたっていただきたいとより強く願う。

◆ 跳馬

● Aクラス

100名の選手の演技の採点でしたが、最も多かった跳越技が屈身ツカハラで26名、
次が抱え込み転回前宙で21名、以下、屈身転回前宙が17名、伸身カサマツが14名と続きました。
また、側方系技群が53名と半数強であった。側方系技の課題となる入りの脚を閉じた実施は、全体の約20%でした。
約80%の脚の開きが見られた実施の大半は0.3の減点で、着地の0.3に相当する1歩の減点と合わせ0.6の減点が大きく決定点に響くことに繋がることになりました。
今後の強化に期待しています。

《種目別優勝者》
氏名:望月堅心
所属:トミオカ体操クラブ
Dスコア:4.0
Eスコア:9.25
加点:0.2
得点:13.45
演技構成:伸身カサマツ

上位3名の演技者は皆が中学1年生で、跳越技も同じ伸身カサマツでした。
しかも点差は0.1ずつの差という結果でした。
その中で望月選手の演技は、入りの脚を閉じ、着地の先取りや安定感も見せて止めた、さらに美しい空中姿勢での実施でした。
2位と3位の選手は、入りの脚の開きの減点や着地での減点で差がつき、この結果となりました。

● Bクラス

全体的な感想としては、指先から体線、足先までしっかり綺麗さや丁寧さが意識された演技が多かったと感じました。
着手時に肘が曲がったり、肩が出たり、脚が曲がったりという演技は極少数でした。
この点しっかり練習してきたことが伺えました。
差が出たのは、第2局面の雄大さを表現するための踏み切りから着手までのスピードが速い演技と不足する演技、
突き手がしっかり入っている演技と不足している演技、着手時の体の角度が着手までのスピードに合った角度で、
安定した着地に繋げられる演技とそうでない演技、といった箇所です。
これらの技術により演技の迫力や安定感に大きく差が出ていました。
さらに第2局面での腕の位置や顔の向き(視線)による転回跳びのかっこいい見せ方や表現力にも差が見られ、
単純な転回跳びという技の奥深さも感じられました。
得点を10.0に近づけるためには、右記のような観点で転回跳びの技術練習や必要な筋力トレーニングに励んでいただきたいと思います。

◆ 平行棒

● Aクラス

Bクラスの規定演技の取り組みでの熟練性が、Aクラスでの自由演技に発展していっているのだなと強く感じた。
特に特別要求の支持前振り系の技は、Bクラスの支持振動がしっかりできていないとなかなか成果を得ることは難しいのではないかと感じた。
また、脚前挙等静止の必要がある技に課題があり、正しい姿勢で2秒以上静止できるよう練習に励んでほしい。

《種目別優勝者》
氏名:杉本大和
所属:相合体操クラブ
Dスコア:3.9
Eスコア:9.0
加点:0.5
得点:13.40
演技構成:け上がり、脚前挙支持(2秒)、伸腕屈身力倒立、後方車輪倒立、モイ、移行、ティッペルト、ディアミドフ、前振り上がり、後ろ振り倒立、後方かかえ込み2回宙返り

大変良い出来栄えでした。
支持振動系の技をもっと増やせるようにがんばってください。

● Bクラス

後ろ振り倒立で極限まで挑戦できている選手が少なかったように思う。
前振り上がり、け上がり、支持前振りに強化の余地があるように感じた。
全体的に安全な範囲内で演技をこなす傾向がみられた。体格的な問題もあり、腕支持振動技の強化は困難であると思われるが、支持振動についてはさらなる努力に期待したい。
力倒立については丁寧に指導されていることが十分に伝わってきた。

◆ 鉄棒

● Aクラス

〇 強い抜きあふり動作の見られる演技
〇 シュタルダーやエンドーにおいて、勢いのある上昇運動から正しい倒立姿勢に収められる実施
〇 正しい技術の抜きあふり動作から、高さのある終末技と安定した着地

これらを評価のポイントとしました。Bクラス同様に、力強いあふり動作を意識するあまり、抜きでの膝の緩みがみられる選手も多く見受けられました。
美しく正確な実施が増えてくることを願っています。
高さや大きさのある雄大な手放し技を実施する選手は少なく、グループⅠで高難度技を実施した選手が上位を占めました。

《種目別優勝者》
氏名:藤田兼理
所属:アクバススポーツクラブ
Dスコア:3.2
Eスコア:9.4
加点:0.4
得点:13.00
演技構成:強い抜きあふり動作のある後方車輪、正確に実施されたアドラー・大逆手車輪、上昇のあるエンドー・閉脚シュタルダー・シュタルダー

大変素晴らしい実施でした。
終末技で腰曲がりとひねり不足、着地の減点があったものの、圧倒的な演技実施で優勝得点となりました。
更なる飛躍を期待しています。

● Bクラス

前方・後方へのあふり動作をテーマとした規定演技です。

〇なめらかに実施される懸垂前振り出し~後ろ振り
〇上昇のある後方浮き支持回転倒立
〇力強いあふり動作によって表現される懸垂前振りひねり
〇器具のしなりを使った後方車輪と前方車輪の連続
〇正確な前振りひねり倒立と後ろ振り上がりひねり倒立
〇抜きあふり動作によって身体を投げ出す後方伸身宙返り下り

これらを評価のポイントとしました。
力強いあふり動作を意識するあまり、抜きでの膝の緩みがみられる選手が非常に多く見受けられました。
力強いあふり動作は評価のポイントで

ある一方で、あふりで膝が曲がることに対しては、毎回 0.3(大欠点)までの減点があり得る項目です。

懸垂後ろ振りが 3 回、懸垂前振りが 8 回含まれていますので、指導のポイントとしていただき、将来的に、美しい実施で高難度技を修得できるような基礎作りをお願いします。

写真提供:オールスポーツコミュニティー

審判長総評(女子)

女子審判長

佐藤 ひとみ

適用規則

● Aクラス

・2022年版採点規則
変更規則Ⅰ 情報33号補足まで
・花丸判断基準(2024年度)適用
E得点賞

● Bクラス

・2022年版採点規則
変更規則Ⅱ 一部を変更して適用
※情報33号補足まで
(※跳馬…第2空中局面で1回以上のひねりを伴う前方宙返り
または後方宙返りは無効とする)
・花丸判断基準(2024年度)適用
E得点賞(全種目)

● Cクラス

・ジュニア連盟女子Cクラス
規定演技
・花丸判断基準(2024年度)適用
・花丸判断基準適用について
○ A・Bクラスは最終得点に0.3までの加点
○ Cクラスは9.7満点に0.3までの加点

【審判会議について】

・採点にあたっての統一見解

採点の方向性として、ジュニア連盟女子採点指針とともに、A・Bクラスでは情報33号の15歳以下の選手強化に向けた指針、CクラスはCクラス新規定解説・減点表総則に基づいて採点することを確認しました。

「美しい体操」を目指していくためには、徹底した基礎基本を習得することが重要であり、ジュニア期に正しい技術の習得、美しい姿勢での実施を目指すことが芸術体操としての美しい体操につながる重要な視点と考えます。
これらの指針を明確に表すためにも、花丸の評価を使うことが明確な方向性を示していく重要な内容であると考え、共通理解をしました。

今年度より花丸の評価は 0.3 までの加点とすることとなりました。
各種目の花丸判断基準に従い、3つの項目を各0.1で判断します。
各種目、具体的で明確な基準を基に内容を確認し、高い理想をもった丁寧な実施を目指し、より美しく正確な演技を要求することを確認しました。
花丸の評価が点数化されることで、選手はより明確に理解することになり、次へのステップにつながる指標になるのではないかと考えます。

採点に当たっては、各種目の審判員が協力し責任を持ち、方向性のある評価をしていくこと、最初の選手から最後の選手まで、公平公正に統一した評価基準で採点することを確認しました。

所感

● Aクラス 79名

高いDスコアを目指すことで高い難度や組み合わせから加点を狙おうと取り組む選手も見られました。
Dスコアの分布表を掲載しましたので参考にしてください。
積極的に高い難度の技や組み合わせ加点に挑む姿勢はたいへん評価できることだと思いますが、
高いDスコアを狙うことでEスコアに大きく影響している演技もみられました。
跳馬は多くの選手が屈伸ツカハラ跳びでした。
つま先など意識している選手も増えてきていますが、まだ身体のゆるみが見られたように思います。
1回半ひねり、1回ひねりや1/2ひねりなどの高難度の跳躍に挑戦した選手も見られました。
段違い平行棒では昨年同様にDスコアが低く、構成要求を満たしている選手は15%弱と少なく、やはり大きな課題と言えます。
しかし構成要求を満たすために無理な実施になると減点が多くなってしまいます。
け上がり振り上げ倒立や車輪などでも実施減点が多く、ひねりが伴う技では危険な実施が見られました。

まずは基本技を正確に習得することを大切にし、減点の少ない質の高い演技で構成することを目指してほしいと思います。

平均台・ゆかにおいては、姿勢が美しく表現力豊かな演技も見られました。
しかしDスコアは高く評価されているが、Eスコアが出にくい傾向にあります。
膝や足先がゆるんだり、上半身の姿勢が悪かったり、不正確な実施が多く減点につながってしまいました。

一つひとつの動きや技を正確に実施すること、
絶えず美しい姿勢を意識した練習に取り組んでいただきたいと思います。

今回は、平均台で重心の位置が高く安定した美しい姿勢での演技が見られました。印象に残る素晴らしい演技でした。

花丸については、35人が花丸の対象となりました。
全種目花丸をもらった選手は4人、
種目0.3満点の評価をもらった選手は、
跳馬4人、段違い平行棒なし、平均台1人、ゆかなしです。
各種目の判断基準を確認して、
多くの選手が花丸をもらえる演技を目指してほしいと思います。
4種目の花丸合計の分布表を掲載していますので参考にしてください。

2024西日本ジュニア AクラスDスコア分布表(人)
スコア 跳馬 段違い平行棒 平均台 ゆか
5.5〜5.9 0 0 3 0
5.0〜5.4 0 2 10 11
4.5〜4.9 0 4 25 25
4.0〜4.4 2 7 22 21
3.5〜3.9 13 16 5 6
3.0〜3.4 53 11 4 3
2.5〜2.9 2 6 1 2
2.0〜2.4 1 6 0 0
1.5〜1.9 5 11 0 0
1.4以下 3 7 0 2
(平均Dスコア) (3.14) (2.97) (4.48) (4.30)
※跳馬:採用跳躍のみ

● Bクラス 131名

昨年よりエントリー枠を広げたことで、参加人数が2割程増えています。
小学3年生から中学生までとなり、演技内容についても幅広く実施されました。
Dスコアは低いけれど基本の技を丁寧に実施している演技、
指先から足先、表情まで意識され美しい体線を見せようとしている演技、
高いDスコアを狙おうと工夫された演技などもあり、選手の皆さんの元気よさや一生懸命やるぞという気持ちが伝わりました。
Dスコアについては分布表を掲載していますので参考にしてください。

跳馬については、スピードや迫力があり高い姿勢で着地がとれている演技も見られましたが、
全体的に助走、踏み切りが弱く、第2空中局面の理想とする位置まで達することができている選手は
少なかったように思います。また、第2空中局面での姿勢欠点が見られ、高い着地姿勢がとれる選手も少なく、
ほとんどの選手が着地と1歩がセットになっているようでした。

段違い平行棒については、技の承認ができなくて構成要求が満たせないのではなく、
必要な技が構成に入っていないということから構成要求を満たせない選手が多い状況にあります。
まずは後ろ振り上げ閉脚伸身倒立を正確に実施できるよう繰り返し練習を積み上げていただきたいと思います。

しかしバーのしなりをしっかり使って大きくスイングを出し、美しい体線の倒立姿勢が見られる演技もあり、
Eスコアの9点台も可能ではないかと思わせるようなすばらしい演技もありました。

平均台・ゆかについては芸術性を意識し、表情まで意識された演技もありましたが、
あと少し工夫したらもっときれいになるのではないかと思わせる演技もありました。
まず、立ち姿勢を美しく、1歩の踏み出しも美しくを意識し、基礎基本の正確な技術の習得を大切にし、
理想となる演技を追求していただきたいと思います。

花丸については、58人が対象となりました。全種目花丸をもらった選手は9人、
種目0.3満点をもらった選手は、跳馬5人、段違い平行棒3人、平均台2人、ゆかなしです。
各種目の判断基準を確認して、多くの選手が花丸をもらえる演技を目指してほしいと思います。
4種目の花丸合計の分布表を掲載していますので参考にしてください。

2024西日本ジュニア BクラスDスコア分布表(人)
スコア 跳馬 段違い平行棒 平均台 ゆか
5.0〜5.4 0 0 10 4
4.5〜4.9 0 2 55 28
4.0〜4.4 0 22 34 63
3.5〜3.9 14 16 19 23
3.0〜3.4 92 22 9 8
2.5〜2.9 10 12 4 2
2.0〜2.4 1 17 0 1
1.5〜1.9 12 28 0 0
1.4以下 2 1 1 2
(平均Dスコア) (3.10) (2.98) (4.25) (4.09)
※跳馬:採用跳躍のみ

● Cクラス 39名

今年度より新しい規定演技のスタートとなりました。
昨年Cクラス新規定が発表され、2月に研修会を行い、解説や減点表等がホームページにアップされました。
初めての新規定の実施となり、不安と期待の中、大会に臨みましたが、皆さんの演技に感動させられました。
どの種目もすばらしい演技でした。
Cクラス新規定解説・減点表総則にあるように、
「ジュニア期における基本的な技の習得を求める」
「姿勢の美しさ、動きの美しさを優先して評価できるように考えている」
「演技の美しさを追求し、技術の差(技の冴え、出来栄え)を採点する」
という内容を目指し、考案されたものです。
種目によって、種目特有な実施減点(段違い平行棒)、芸術性の減点(平均台・ゆか)の項目があり、
花丸基準項目各種目の内容に加えて、採点指針に基づいた美しい体操を追求する方向を示しています。
選手、指導者の皆さんはこういった内容を踏まえ、一生懸命な演技が多く見られました。
跳馬は、ほとんどの選手が着手からの突き上がりが見られ、9.80の高得点が出ました。
もっとスピードや力強い踏み切りが加われば、次年度には10.00満点も可能だと期待しています。
段違い平行棒は要素の変更などもありましたが、花丸の「スイングの大きい実施」に該当する選手が多くいたと思います。
また、落下後の演技の再開について選手に不利になってしまうことがありますので、解説・減点表総則を確認していただきたいと思います。
平均台では細かな部分で不十分な実施はありましたが、丁寧に個性豊かな表現ができていると思いました。開始技での倒立2秒静止(足を閉じた姿勢)、連続を要求している部分、波動などについてはもう一度確認していただきたいと思います。
ゆかについても全体的に丁寧に演技しようとする意識はしっかりと見られました。しかし、ピケターンから1回ターン、ジャンプのシリーズ、ワルツステップなどで、つま先が伸びなかったり姿勢が不十分であったりと気になる点も見られました。また、もっと音楽に乗って身体全体で表現すれば、もっと楽しく表現できるのではないかと感じるところもありました。
花丸についても29人と多くの選手が評価されました。全種目花丸をもらった選手は5人、種目0.3満点の花丸をもらった選手は、跳馬2人、段違い平行棒2人、平均台なし、ゆか1人です。ぜひ多くの花丸加点がもらえるよう、各種目の判断基準を確認して、花丸をもらえる溜技を目指してほしいと思います。4種目の花丸合計の分布表を掲載していますので参考にしてください。

総評

予選通過者の得点をまとめましたので参考にしてください。
今回の審判員からの意見も含めて所感の方に記載しています。次のステップにつながる大切なジュニア期の基礎基本の習得の重要性と、常に美しい姿勢を意識した練習に重点をおき、美しい体操を追求してほしいと思います。
今大会は81クラブの団体が参加し、女子選手249名、総計413名の選手たちが競、合いました。20日の公開練習から24日まで5日間の開催となりました。次年度も多くの選手が参加し、練習の成果を十分に発揮し選手たちの笑顔あふれる大会になることを期待します。
昨年に引き続き今年度も鯖江市総合体育館で開催されました。福井県体操協会、鯖江市体操協会の役員の方々が複数の業務を兼ねられ、時間をかけて準備され運営にあたられました。役員、審判、大会関係者の皆様のご協力で無事大会を終えることができました。ご協力いただいた皆様に心よりお礼申し上げます。ありがとうございました。

花丸加点4種目獲得合計分布表
加点合計 Aクラス(79名) Bクラス(131名) Cクラス(39名)
1.2〜1.0 0 0 0
0.9 0 1 1
0.8 0 2 1
0.7 2 0 1
0.6 2 9 3
0.5 2 3 4
0.4 1 2 4
0.3 7 4 7
0.2 8 13 5
0.1 12 19 1
2024決勝大会通過の個人総合得点(西)
1位 1種目平均点 12位 1種目平均点
Aクラス 53.700 13.425 47.600 11.900
Bクラス 51.450 12.862 49.350 12.338
Cクラス 37.000 9.250 34.050 8.510

写真提供:オールスポーツコミュニティー