大会結果

2024
全日本ジュニア
体操競技選手権大会

群馬県高崎市

スコア・得点表

東西ABCクラス決勝大会

Aクラス決勝

個人総合 男子 女子
種目別 男子 女子

Bクラス決勝

個人総合 男子 女子
種目別 男子 女子

Cクラス決勝

個人総合 女子
種目別

選手権2部

団体総合 男子 女子
個人総合 男子 女子
種目別 男子 女子

選手権1部

団体総合 男子 女子
個人総合 男子 女子
種目別 男子 女子

概要

東西ABCクラス決勝大会

2024 全日本ジュニア体操競技選手権大会(JOCジュニアオリンピックカップ・東西決勝大会)は、令和6年8月12日から17日の6日間に渡り群馬県高崎市高崎アリーナにて開催されました。これまで開催されてきた横浜市から場所を移しての初めての高崎市開催となりました。
総参加クラブは321クラブ、総参加人数は859名(男子438名・女子458名)となり、小学生から高校生までの選手達が連日熱戦を繰り広げました。
そして、コロナ禍の影響により控えられてきた表彰式も4年ぶりに行われ、昨年より就任された柴山良成会長から賞状や優勝カップが手渡される最初の大会となりました。
また、パリオリンピックから帰国したばかりの女子代表、岸里奈選手(戸田市スポーツセンター)と中村遥香選手(なんば体操クラブ nge)の参加もあり、選手達にとってオリンピアンとの間近な接触となったサプライズ大会となりました。
日本男子団体金メダルの熱がさめやらぬ時期でもあり、選手達はみな熱い思いで試合に臨み、大会は無事成功裡に終了しました。

写真:高橋秀美

写真:オールスポーツコミュニティ

今大会では本部席の設えが変わり、アナウンスにはAIも活用された。
写真:高橋秀美

視察に来られた藤田日本体操協会会長と竹内日本体操協会副会長、左は当連盟の池谷専務理事。
写真:高橋秀美

表彰式の様子。
写真:高橋秀美

当連盟の柴山会長から花束を贈呈される中村遥香選手と岸里奈選手。
写真:高橋秀美

パリオリンピック代表の岸里奈選手と中村遥香選手はサイン会で大会を盛り上げてくれた。
写真:高橋秀美

大会にご協力いただいた群馬県体操協会の皆様方と補助役の子ども達。
写真:高橋秀美

高崎アリーナの横を走るSL機関車。
写真:高橋秀美

会場に出店、協賛・協力をいただいた企業の皆様。
写真:高橋秀美

審判長総評(男子)

東西ABCクラス決勝大会

男子審判長

佐々木 彰文

【適用規則】

■ Bクラス
・2022年版体操競技男子小学生規定演技(あん馬2を適用)
・花丸ルール適用

■ Aクラス
・2022年版中学校男子適用規則
・花丸ルール適用

【採点の方向性】

■ Bクラス
規定演技で求められているねらいの通り、基本的な技の正確さや捌き方、熟練した演技の表現に重点を置き、選手の将来像を見据えた中で「美しさ」「捌き方」「技の習熟性」においた採点を行う。

■ Aクラス
中学校適用規則のねらいの通り「美しい体操」「基本の習熟」を念頭においた採点を行い、各種目に定められた項目に対して加点を与える。

【所感】

近年の体操競技の技の発展は急速に進歩を続けているが、「技の難しさ」「演技の美しさ」を追求することは今後も変わりなく続いていく体操競技の原点であり、さらなる発展のための重要な要素であると考える。

成長過程にある選手たちには将来を見据えた中で、指先から足先までしっかりと真っ直ぐに伸びた姿勢や、動きの中にある「美しさ」、「捌き方」や「技の熟練性」など、基本姿勢の美しさや個々の技の表現を磨くことで美しい体操競技のベースとなればと考える。

今大会を振りかえってみると種目ごとに将来性のある実施が散見された。中でも着地を止めるためにしっかりと準備局面を示し着地を止めにいく実施が多く、安定した着地へのこだわりが日々の練習の中にもあるように感じた。そこには単に着地を止めるという動作だけではなく、止まるべくして止まるといった技術を追ってこそ生まれるものでもある。

また、ゆかでは単純なコーナーへの移動においても指先や足先が伸びているだけではなく、しっかりと力を入れて伸ばしているといったような表現は、審判として見ていて非常に素晴らしいと感じる部分であり、そういった実施が重要であることも改めて認識してほしいと感じる。

また、つり輪においてこの時期の選手たちにとっては難しい種目ではあるが、懸垂回転の大きさが不足していても膝が曲がったり緩まない実施など評価される演技も見受けられた。

今後どのようにルールが変わっても普遍的な体操競技の基本技術や美しさといった部分は変わらないので、将来のために取り組むべきことに注視し、世界で活躍できる選手たちが多く育つことを期待している。

選手権2部

男子審判長

梅田 秀一

【適用規則】

・2022 年版採点規則
・高体連採用の採点規則(一部変更ルール)を適用する(8技)
・情報31号

 

【所感】

選手権大会へのステップとなり、また、数少ない全国大会の経験となる競技会で、多くの中学生や高校生が出場した。

競技会全体としては梢極的な派技構成が多く見られた。技数が8技という事で、一つ一つを丁寧に実施しようとしている油技や捌きも一定数見られた。しかしながら、やや危険を感じる様な実施も散見されたので、競技会で実施するだけではなく、より習熟された美しい日本の体操を体現されることが望まれる。

マナーの面については、炭酸マグネシウムの取り扱いについて、これまでよりもマナー向上が見受けられた。今後も炭酸マグネシウムの取り扱いなどに気をつけていただき、将来に渡って礼儀正しい「体操ニッポン」を体操界全体として作り上げることが望まれる。

最後に選手権2部は、それぞれのレベルに応じた目標を掲げ、大変多くの選手が参加しています。競技としての裾野の拡大や競技力向上に繋がることを願い、この全日本ジュニア体操競技選手権大会から多くの金メダリストが育つことを期待しています。

選手権1部

男子審判長

佐々木 彰文

【適用規則】

・2022年版採点規則
・男子体操競技通報第31号
・Letter 3 News

【所感】

2025年より新たなルールとなるため、現2022年版採点規則での最後の年を迎えた全日本ジュニア大会となった。現ルールに改正された直後の年から比べると、各種目において難度の高い技の実施が増え、全体的に構成価値点であるDスコアの平均が上がったことは間違いない。ルールが改正されたその年にはなかなか対応できないのが特徴ではあるが、数年が経ち、新たにルールの改正前の年になると、多くの選手たちの演技構成に難度の高い技が入り、そして減点の少ない美しさも兼ね備えた素晴らしい実施が散見されるようになる傾向にある。

今大会においても、種目によっては非常に高い構成価値点の実施や美しさ、熟練性、完成度といった部分でも高いEスコアとなる演技が散見された。特に今年はパリオリンピックの影響もあり、各種目において終末技の着地に対する執着心は、見ていて非常に強く感じる部分があった。そこには日頃から時間をかけ、強く意識し、着々と積み重ねている日々の練習の賜物だと感じる。着地へのこだわりを持って選手に指導していただいている先生方や、練習に取り組む選手自身の意識の高さを、見ていて感じた。

しかしながら、全体を通して見ると課題があるのも現状である。例えばつり輪の力静止技での静止時間における不足は、今大会にとどまらず、全国高等学校総合体育大会においても共通の部分であった。また、平行棒の脚前半支持からの伸腕屈身力倒立(伸肘倒立)や後ろ振り上がり倒立、つり輪における脚前挙や倒立の際の静止時間不足が多く見受けられ、技の不認定や大欠点を被るかたちとなっていた。改めて、日々の練習の中で静止時間にも目を向け、意識を高めて練習に励んでいただきたい。

2024年パリオリンピックにおいて日本男子体操の素晴らしい活躍に続き、今大会に出場した選手の中からも、4年後や8年後のオリンピックにて、一人でも多くが日本代表選手として活躍することを期待し、今大会の報告とする。

審判長総評(女子)

東西ABCクラス決勝大会

女子審判長

吉村 佳子

【C適用規則】

■ Aクラス

・2022年版変更規則Ⅰ情報33号まで
・ハナマル

■ Bクラス

・2022年版変更規則Ⅱを一部変更
・ハナマル

■ Cクラス

・2023年制定ジュニア連盟Cクラス規定演技
・ハナマル

【審判会議について】

◯採点にあたっての統一見解
日本体操協会2024年採点指針のポイントである膝、つま先の緩みがなく、手先足先までコントロールされた美しい姿勢での演技、欠点のない正確な技の実施を評価することと、新たに全日本ジュニア連盟から通達した「ABCクラス採点指針」・「ハナマル判断基準」について確認をしました。

美しい体操を評価するという課題にむかって、正しい姿勢、美しい演技の理想像をしっかりと持ちながらの採点を求めていることを共有しました。

今年度よりABCクラス「ハナマル判断基準」で各種目0.1から最大0.3が加点されました。見逃さないようにチェックすることと、基準を常に念頭におき、質の良い技や捌きには積極的にハナマルを加点する採点をお願いしました。

Cクラスは新規定演技の求めている技術について確認しました。

【所感】

■ ABクラス

各種目のDスコア・Eスコアを比較してみました。下の分布表を参考にしてください。

【Cクラス新規定について】

今年から新しい規定演技となりました。この規定演技の作成の目的は日本女子の競技力を上げるための基礎をつくる、技術の向上と豊かな表現力を培うこと。「ごまかし」を良しとしない、姿勢の美しさ、動きの美しさを優先して評価できるように作成されています。

評価は演技の美しさを追求し、技術の差(技の冴え、出来栄え)を採点していきます。この規定演技を通じて「質」の高い選手育成を期待します。個々の要素をひとつひとつの「技術」と「姿勢」の両面から、欠点のない減点のない演技を目指し、全種目においてバランスのとれたレベルアップを目指していただきたいと思います。

日本女子体操競技の発展を願い、宝であるジュニア選手に向けて作成された演技です。選手のみなさん、指導者の方々、そして審判の方々で、美しい体操を目指していきましょう。

分布表

2024決勝大会 Aクラス Eスコア分布表

スコア帯 跳馬 段違い 平均台 ゆか
9.0以上 1 0 0 0
8.80〜 1 0 0 0
8.60〜 6 0 0 0
8.40〜 10 0 1 0
8.20〜 6 0 2 2
8.00〜 0 0 3 0
7.60〜 0 5 5 5
7.00〜 0 12 7 4
6.95以下 0 6 7 7

2024決勝大会 Aクラス Dスコア分布表

スコア帯 跳馬 段違い 平均台 ゆか
5.6〜5.8 0 0 0 0
5.3〜5.5 0 0 0 6
5.0〜5.2 0 1 7 4
4.7〜4.9 0 4 9 9
4.4〜4.6 4 1 2 4
4.1〜4.3 1 3 1 3
3.8〜4.0 7 8 0 0
3.7以下 12 4 0 1

2024決勝大会 Bクラス Eスコア分布表

スコア帯 跳馬 段違い 平均台 ゆか
9.0以上 0 0 0 1
8.80〜 2 0 0 1
8.60〜 3 2 0 2
8.40〜 7 3 2 3
8.20〜 7 3 4 3
8.00〜 3 4 1 3
7.60〜 1 3 4 5
7.00〜 1 4 6 5
6.95以下 0 5 13 1

2024決勝大会 Bクラス Dスコア分布表

スコア帯 段違い 平均台 ゆか
5.3〜5.6 0 3 0
5.0〜5.2 0 2 3
4.7〜4.9 1 12 7
4.4〜4.6 3 4 8
4.1〜4.3 9 1 5
3.8〜4.0 7 2 1
3.7以下 4 0 0

 

スコア帯 跳馬
4.0 1
3.8 2
3.6 4
3.4 15
2.6 1

選手権2部

女子審判長

木村 幸代

【適用規則】

・採点規則 2022 年版変更規則
・女子体操競技情報 第33号 を適用

 

【審判会議について】

・採点指針に則り、美しい姿勢での演技を採点の最重要項目とすること、技の姿勢欠点はもちろん、演技全体を通した身体の姿勢や足先の美しさに欠ける演技は厳密に減点し、美しい姿勢での演技との差を明確化させることを確認した。
・質問については、まず直接Dスコア審判へ口頭で質問をし、意見の相違がある場合は内容を審判長に提出する。問い合わせの時間に関しては、基本的には次の種目に移動するまでの間、最終演技者については、次の種目のウォーミングアップの時間内に対応すること。検証用のビデオはないため、再検証はできないことも確認した。
・練習時間についての確認も行った。

 

【所感・課題等について】

 パリオリンピック直後に行われた今大会は、多くの観客、大きな声援の中での熱気溢れる開催となりました。参加選手、監督をはじめ関係者の皆さんのご尽力により、選手権2部の競技を無事終えることができました。

採点業務においても、タイトなスケジュールではありましたがスムーズに業務をすることができ、予定されている時程に遅れることなく進めることができました。減点集計においても、担当者の皆さんが競技中に迅速なサポートをしてくださったことが、スムーズな業務に繋がったと思います。関係者各位に改めて感謝申し上げます。

「美しい姿勢での演技」──これが採点の最重要項目として採点指針に掲げられています。今大会、この美しい姿勢がまだ不十分と感じる選手が多く見受けられ、少し残念に思いました。膝・つま先はもちろんのこと、手先・足先まで身体のすべてに意識が行き届いている、そんな演技を目指して欲しいと思います。

それは個々の技だけではありません。立っているとき、ポーズをしているとき、歩いているとき──すべてに求められるものですので、今一度、選手自身が「美しい姿勢での演技」を追求して欲しいと切に願います。そしてこの美しい姿勢は、ジュニア世代がこれから長く選手生活を続けていくうえで、とても大切なことだと思います。

一朝一夕にできるものではありませんし、時には慣れた方法を変えるなど時間を要するものではありますが、次年度以降、すべての選手が姿勢欠点のない「常に美しい姿勢での演技」を披露してくれることを心より願っています。

そして今大会、怪我をしてしまうのではないかと心配される実施が大変多くありました。残念ながら大きな怪我をしてしまい、大会途中で会場を離れることになってしまった選手もいました。

大会では、未完成な技に挑戦することが望ましいとは思えません。今後の選手生命のためにも見合わせる判断も必要ではないかと考えます。技が多く入っていること、Dスコアが高いことが評価される採点指針ではありませんので、その技が大会で使用できる状態なのか否かの見極めを、コーチの皆さまには是非お願いしたいと思います。

また競技中、選手・コーチの皆さまに説明や注意をすることが大変多くありました。たとえば、採点間の演技台(助走路)での練習、服装違反(マークの大きさ等)、演技中のコーチのかけ声などが挙げられます。

競技中の説明や注意は、演技にも支障をきたすかもしれませんし、時には減点という形で対応しなくてはなりません。練習の成果を存分に発揮するためにも、コーチの皆さまにも規則を熟知していただきたいと思います。そして選手自身も、規則を知る努力をして欲しいと思います。

今大会に出場したすべての選手の、ますますの活躍を心より願っております。

選手権1部

女子審判長

大森 智子

【適用規則】

・採点規則2022年版
・女子体操競技情報33号を適用する。

【審判会議での打ち合わせ】

すべての種目において採点指針で最重要項目としてあげている「常に美しい姿勢での演技」を念頭に、欠点のある実施と身体の細部まで意識された美しい姿勢とをしっかり減点で差をつけること、技の正確さや運動の良し悪しをしっかり見極め採点すること、3日間にわたる競技ではあるが、最初の班から最終日の最後の班まで同じ視点、同じ基準で採点すること、どの選手にも公平公正に採点すること等、審判間で共通見解を図った。

【採点上起こった事項とその処理】

跳馬の演技を2回実施した選手への対応。変更規則と勘違いしたのか、跳馬の演技を2回実施してしまったため、監督に警告を発した。(選手に対してのペナルティ減点は特になし)
選手権1部に出場するのが初めてでルールを把握していなかったとのことであったが、どの大会であっても出場する以上は大会の適用ルールについては事前に理解をしておくことが必要である。

【総評】

今年度の選手権1部の競技を見て一番に感じたことは、特に平均台、ゆかにおいて丁寧な演技を心がけている構成、芸術性まで認識した演技が多くなってきているということです。もちろんまだまだ課題がある選手も多数いるのですが、中には観ている者がその演技の世界に思わず引き込まれるような、魅力的で芸術性の高い演技があり、とても感動しました。日本中の選手、コーチの皆さんにも是非観てもらいたい、そして同じように芸術性の高い演技を目指してほしいと、そう思いました。

これは技の習得と同じスピードで得られるものではなく、幼少期からの日々のトレーニングの積み重ねが必要になってくると思います。是非それぞれの所属における日々の練習の中で、柔軟性のある身体づくりから、つま先の伸ばし方や膝・つま先が緩まない脚の振り上げ方、常につま先を伸ばしたまま動くことや上半身・骨盤を引き上げて、まっすぐに立つ姿勢を保ち動くことなどを幼少期から徹底して身につけてもらいたいと思います。それに加えて、音楽のリズムに合わせて身体を動かすようなダンス的なレッスンの経験も必要ではないかと思います。

ゆかの演技を見ていると、残念ながら音楽をまったく無視して動いていたり、動きが音楽のリズムに合っていないような構成も見受けられました。選手は技を成功させることだけに集中してしまうことがあるかもしれません。ジュニア期の選手が技を正確に、丁寧に実施することに加えて、音楽に同調させて動き、音楽テーマを表現するにはやはり時間がかかることでしょう。ですが、その一つ一つのステップが熟練された演技に繋がるはずですので、どうぞあきらめず日々のトレーニングを積んでいっていただけたらと思います。

また、ゆかに関してはどういった音楽をチョイスするかということも選手の演技を魅力的な構成にするための重要な要素と言えます。その演技が芸術的な作品になるかが決まるほど重要なポイントであるため、曲選びは非常に重要です。指導者の皆さんには、ただインパクトがある、目立つ、注目をあびる、というような理由で曲を選ぶのではなく、その選手の個性が引き出される魅力的な、そして見ている者の心が震える芸術的な作品となる曲を是非選んでもらいたい、そう強く願います。

次年度、選手がまた一回り成長し、出場する選手が皆、優雅で気品のある演技を披露してくれることに大いに期待したいと思います。皆さん、頑張ってください。

種目ごとの審判講評(男子)

東西ABCクラス決勝大会

ゆか:主審

吉田 義経

■ Bクラス

【採点の方向性】

審判会議で確認した内容について器技の採点、区分および解説文、減点表について確認した。「美しさを競う」という体操競技の本質である「美しさ」「捌き方」「技の習熟性」という質の高い実施を評価することを確認した。

【将来性を感じた実施、評価された内容について】

評価が高かった演技の実施の特徴:
・スピード感のあるアクロバット技
・演技全体を通して膝や肘、つま先や指先が伸びている実施
・安定感があり角度逸脱のない静止技
※最高得点は9.75、9.50以上は4器技であった。

・魅力的な技捌き

区分I:リズミカルな流れの中でメリハリの見られる動き
区分II:リズム感のある前転とびの連続からコントロールされたとび正面支持
区分III:安定した倒立と倒立ひねりでの体重移動、後転倒立ひねりにおいて両手で身体を支えた倒立
区分IV:柔軟性の表現された開脚座やマンナ、腰の位置の下がらないマンナからの振り出し背面支持、高い最高到達点で前脚を曲げた前後開脚姿勢の見られるジャンプ
区分V:助走として後方宙返りの蹴りにつながるロンダート―後転とび連続、コントロールされ浮きの見られる後方伸身宙返りからの頭や腰の位置の高い着地姿勢
区分VI:美しさが意識されたリズミカルな動きの中で明確な静止の見られる実施

【全体を通した所感】

習得するのに時間や努力を必要とする基本技術の要素が詰め込まれた規定演技である。この年代で習得に向けた取り組みをすることにより、体操競技において必要とされる質の高い実施につながる内容であることからも、上記の区分ごとに示された魅力的な技捌きに向けた取り組みを目指してほしい。

■ Aクラス

【採点の方向性】

審判会議で確認した内容について、体操競技の本質である「美しい体操」を目指した演技を評価する。Dスコアに関しては習熟して高められた構成や実施を評価する。加点項目を活用し、減点項目だけにとらわれず、今後の体操の本質的な技術や実施を評価する。種目特有の評価としては、動きがスムーズで力強いタンブリング、安定した着地や静止技、美しさの表現された姿勢や動きを評価した。

【将来性を感じた実施、評価された内容について】

Eスコアが高かった演技の実施の特徴:

・アクロバットについて:スピード感のある実施、着地準備があり腰や頭の位置の高い宙返り技の着地
・静止技や柔軟技について:安定した倒立、柔軟性の表現されたマンナや脚上挙・開脚座
・動きについて:タンブリング間の方向転換や移動においてリズム感のある実施
※Eスコアの最高得点8.90、8.50以上は12器技であった。

【全体を通した所感】

Bクラスの規定演技と比べ、タンブリング主体の演技構成であった。着地準備が見られ、頭や腰の位置の高い安心できる着地姿勢、安定した倒立や柔軟性の表現されている実施が見られたことは、日頃から意識して練習していることが伝わってきた。反面、側転からとび前転のようなタンブリング間の動きにあたる部分においては、リズムや美しさが意識された実施を心がけてほしいと感じる実施も見られた。

あん馬:主審

大門 景

■ Bクラス

【採点の方向性】

・大きくスピード感のある旋回を評価する。
・正しい向きの旋回を評価する。

【評価された実施について】

中村真翔選手(なんば体操クラブngc) 決定点9.900
旋回の質、スピード共に申し分なく、つま先までしっかりと意識の行き届いた旋回が、演技の始めから最後まで変わることなく、熟練性も感じる素晴らしい実施であった。

【全体を通した所感】

昨年から新しく変更された規定演技であったため、選手側も習熟している演技というのは少なかったように感じた。特に、旋回の周数を間違えてしまうような演技も見られ、大きな減点につながってしまったため、来年以降そのようなことがないよう注意していただきたい。
また、高得点を出した演技は本当に旋回の質もスピードも良く、このままの旋回の質でAクラスやその先に繋げてほしいという演技もあったので、今後に期待したい。

■ Aクラス

【採点の方向性】

・体操競技の本質である「美しさ」を表現した演技を評価する。
・Dスコアを高めることだけにとらわれず、腰の高い旋回や旋回のスピード感などを評価する。

【評価された実施について】

杉本大和選手(相好体操クラブ)
Dスコア3.8 Eスコア8.9 加点0.4 決定点12.900

〇演技構成〇

馬端中向き旋回(A)、前移動(C)、シバド(D)、一把手上縦向き旋回(B)、把手上下向き転向(B)、正交差左右(A)、横向き旋回(A)、下向き逆移動倒立下り(C)
縦向きの移動技での向き、腰の高さなどが素晴らしく、最初から最後まで旋回の勢いがあり、膝・つま先も美しい演技であった。演技が特に評価された。

【全体を通した所感】

全体としては落下が多く、全36演技中11演技で落下が見られた。その中でも複数回落下してしまう演技もあった。落下は1回につき0.5である。かなり大きな減点となるが、中には旋回の質や演技全体の流れがとても良く、落下があってもEスコアが8点台後半の演技もあった。
しかし、複数回の落下があるとそうはならないので、来年以降、全体として落下の少ない大会になるように期待したい。
また、このルールはDスコアとEスコア、そして加点という形であり、どれだけEスコアを高めても、Dスコアの部分で1.0点以上差があると、Eスコアでその差を埋めることは難しいと感じた。加点も最大0.5なので、旋回の質が良く、交差技も大きく評価したい演技があっても、ある程度のDスコアを有していないと評価ができない歯痒さを感じた。

つり輪:主審

梅田秀一

■ Bクラス

【採点の方向性】

・採点は、美しく正確で、雄大な演技を評価に反映する
・選手の将来像を見据えた中で、「美しさ」「捌き方」「技の熟練性」の向上を念頭において採点にあたる。
・雄大性の表現が見られる懸垂回転
・美しい姿勢で安定感のある倒立、開脚前挙
・倒立から下ろして支持〜逆懸垂におけるコントロールされた実施
・高さのある宙返り

【所感】

全体としては丁寧な演技を目指しているものの、ひとつひとつの動きの中で極限を目指した演技は非常に少なく感じた。

後ろ振り上がり支持の腕のまがりについては多くの選手に見受けられた。

また、倒立についても、多くの選手が腕のまがりとロープタッチを伴う実施であった。

その中でも、腕を伸ばした実施や輪を開いてロープに頼らない実施についてはその評価を得点に反映した。

振動系については、前方および後方の懸垂回転の大きさについて、輪の高さを基準に肩が上にあるのか、下に位置しているのかを評価の基準とし、良い実施には積極的に加点を与えた。

Aクラス同様とはなるが、倒立の出来が将来に渡って安定したつり輪の演技には不可欠であり、ジュニア期に積極的により高い完成度を目指して日々のトレーニングに励んでいただきたい。

■ Aクラス

【採点の方向性】

演技全体で美しく丁寧な実施
・基本技の美しい実施を評価に反映する
・演技全体で美しく丁寧な実施
・安定した倒立や静止技
・大きさのある振動技
・個々の技の評価のみならず、演技全体の完成度を評価に反映する

【評価された演技と所感】

ひとつひとつの技を丁寧に実施しようとする選手が増えた様に感じた。

最終的に高得点となった演技の特徴としては、倒立の良し悪しが、評価を大きく分けた印象であった。

輪を開き、ロープに触れる事なく倒立を実施する選手に対しては高い評価が与えられた結果となった。

そして、静止技における静止時間不足が散見され多くの選手が減点の対象となっていた。

振動技については、輪が操作された雄大な実施に対しては良い評価を得た。

将来に渡って必要とされる基本的な技術向上を、この時期に習得されることが望まれる。

特に、倒立については、力倒立以外にも振動からの倒立などもあり、他の種目同様に非常に重要な技術であることは明白で、目先の目標だけに縛られる事なく、将来につながる基本的技術の習得を目指して欲しいと感じた。

跳馬:主審

伊東貴志

■ Bクラス

【採点の方向性】

・高さと大きさを伴った雄大な跳躍
・準備局面があり、腰高で安定した着地を伴った跳躍
・着手時の倒立位、第一・第二局面の姿勢欠点、着地の減点について確認をした。

【評価された実施について】

・演技全体を通して美しい姿勢
・雄大な空中局面
・安定した着地

【全体を通した所感】

Bクラスでは、良い前転とびがいくつも見られたが、2本の平均点ということもあり、着地を2本とも止めたという演技は少なく、高い点数が出せない状況もあった。

体が小さくても、力強い踏み切りからの突き手のきいた雄大な上昇局面を表現できている選手も数名見られた。

■ Aクラス

【採点の方向性】

・高さと大きさを伴った雄大な跳躍
・準備局面があり、腰高で安定した着地を伴った跳躍
・着手時の倒立位、第一・第二局面の姿勢欠点、着地の減点について確認をした。

【評価された実施について】

・突き手からの上昇運動が見える高さのある跳越
・意識して先取りが見られる着地への準備
・膝、つま先の伸びた美しい実施

【全体を通した所感】

Aクラスでは突き手のきいた跳躍がいくつか見られ、とくに前転とび前方屈身宙返り(ひねり)では良い跳躍が見られた。

またカサハラ系の跳躍においても第一局面での脚の揃った入りなどが見られ、各選手の練習の成果が見てとれた。

しかし、全体的にみると第2局面での高さ不足により、着地の準備がなく着地で数歩歩いてしまうような跳躍や危険を感じる跳躍も複数見られた。

ぎりぎりの跳躍で無理やり着地にいくのではなく、第2局面を高い位置で終え、着地の準備局面をしっかりと見せて安定した着地を表現することを意識して練習に取り組んでいただきたい。

平行棒:主審

三浦純一

■ Bクラス

【採点の方向性】

・支持前振り、後ろ振り倒立について、雄大で正確な実施を評価する。
・開脚後ろ抜き懸垂ーけ上がりにおいて、将来ティッペルトやバプサーにつながるような、反動による振り下ろしから足先を先行させる実施を評価する。
・終末技において、高さと開きがある実施を評価する。
・2秒以上静止が求められる4つの技について、静止時間不足の減点は厳密に行う。

【評価された実施について】

・雄大なけ上がりから、力を使わずスムーズで正確な後ろ振り倒立を実施した選手が数名いたため、高く評価した。
・後方かかえ込み宙返り下りにおいて突き手の入った雄大な宙返りをし、明確に開きを表現した実施は高く評価した。

【全体を通した所感】

現行の規定演技が制定されてから3年となり、熟練度の高い裁きが多かった。

実施については、倒立において手ずらしが多かった。技術不足による手ずらしもあったが、本番の緊張や、極限を狙いすぎて生じたミスと感じるものもあり、あまりネガティブに評価はしていない。

今後も、雄大かつ正確な倒立位を表現できる支持振動技を目指して努力を続けてもらいたい。

■ Aクラス

【採点の方向性】

・ひじ、ひざ、腰を曲げず、正確な倒立位を示し、雄大な終末技を行った演技を評価する。
・2秒以上の静止が必要な技(後ろ振り倒立、脚前挙、力倒立)について、静止時間不足の減点は厳密に行う。
・雄大かつ着地時の姿勢が高い終末技を評価する。

【評価された実施について】

・雄大で美しい倒立位を示した前振りひねり倒立を実施した選手が数名おり、将来性を感じたため高く評価した。
・モイにおいて、腕を伸ばしてバーをつかみ、大きさを表現した選手を評価した。
・後方かかえ込み2回宙返り下りにおいて、明確に身体を開き腰高で着地した選手を評価した。

【全体を通した所感】

ミスのある演技もあったが、東西の予選会を勝ち上がった選手であるためか、全体的にまとまった良い実施が多かった。

今後の課題としては支持振動技である。本大会のルール(2022年版中学校男子適用規則)に特別要求として「支持前振り振動技」が設定されている。

これは日本の強化の方向性として、ジュニア期から支持振動技を強化すべきだというメッセージと考える。

それを踏まえて本大会を振り返ったとき、「振れ幅のある懸垂系の技に対する評価(0.1)」の加点項目に該当する演技が11件に対し、「振れ幅のある支持振動系の技に対する評価(0.1)」の加点項目に該当する演技が4件という結果となった。

「支持前振り振動技」の特別要求が満たされずND 0.3とした演技が7件あったことからも、今後の強化に期待したいと感じた。

鉄棒:主審

佐野智樹

■ Bクラス

【採点の方向性】

審判会議では、まず規定構成技の内容とそのねらいについて確認をしました。将来的に、発展技の習得へとつながるように基礎技術の獲得を念頭に置き、角度などの外形的な減点項目のみに目が向き過ぎないようにすることとしました。
美しい姿勢、正しい抜きあふり、正確にコントロールされた振動ひねり技術などを評価の軸としつつ、構成全体としての完成度も考慮して評価をすることを確認しました。

【評価された実施について】

締まった身体で力強い抜きあふりを表現できていた選手は高く評価されていました。そのほかにも、構成冒頭の振り出しから後ろ振り上がり支持までの滑らかな実施、正しい姿勢で勢いよく上昇して倒立に収まる翻転倒立、ひねりの先取りがみられる後ろ振り上がりひねり倒立、浮きを表現した高さのある終末技など、各局面において優れた裁きをする選手がみられました。なかでも、構成全体を通して、つま先まで針金が通ったような鋭い脚の線の選手は非常に魅力的で印象に深く残っています。引き続き、一つ一つの技裁きや姿勢に対して、熟練性を表現できるよう追求していただきたいと感じています。

【全体を通した所感】

多くの選手が存分に振動を使った雄大な実施ができているように感じました。
しかしながら、力強い抜きあふりを意識するがあまり、抜きの際に膝が緩む実施もありました。今大会、私はAB決勝、2部選手権、1部選手権の全てを通して鉄棒の採点を行ないましたが、全ての部門を通じて、抜きの際の膝が緩む選手が多く、もったいないという印象を持ちました。場合によっては90度以上の膝曲がりがみられる選手もいました。
小学生はまだ身体が小さく、力強い振動をすることの難しさはあると思いますが、成長してから癖を修正することは非常に難しいかと思います。小さなうちから意識して取り組んで欲しいと切に感じました。
また、構成開始、鉄棒にとびつく際に脚が乱れる選手も散見されました。些末なことと思われるかと思いますが、マットから足が離れた瞬間から構成は始まっています。構成全体を通して美しさを印象づけるためには、こうした細かな部分にまで気を配っていただけたらと思います。

■ Aクラス

【採点の方向性】

審判会議では、適用規則と鉄棒特有の特別要求や加点項目について確認したうえで、それらの方向性に合致するものをEスコア評価の方向性としました。
具体的には、どのような局面でも膝つま先が意識されている実施や、将来的に高度な技の習得に繋がるような抜きあふりのある雄大な振動などを評価していくことを確認しました。

【評価された実施について】

今回の大会では、Eスコア9.0以上を獲得した選手が10名(全36選手中)でした。これらの10構成は全て、加点領域で0.3以上を獲得している構成でした。このことから、加点獲得を意識した演技が高く評価されていたことが分かると思います。
特別要求として求められているシュタルダー・エンドー・アドラー系の技においては、膝、肘、つま先の緩みなく、正確に倒立位に収められている実施は高く評価されていました。
また、雄大な終末技と安定感のある着地も高い評価を得た構成の特徴でした。さらに、力強い抜きあふりによって構成開始から終了までスピード感溢れる勢いのある構成も魅力的でした。鉄棒に関しては、多くの選手が類似した構成内容ではありましたが、一つ一つの技の質がEスコアの評価を左右したと思います。

【全体を通した所感】

全体を通して、雄大な振動による車輪系の技と、バーに近い技で倒立位に収める意識がみられる実施が多かったのは良かったことだと思います。
近年、ルールの改正の影響もあり、閉脚シュタルダーや閉脚エンドーの実施が増加しています。
しかし、入り局面でつま先や膝が緩んだり、上昇時に肘曲がりや胸が反って無理やり倒立に持ち込むような実施も散見され、減点なくこれらの技を実施している選手は極めて少ないように感じました。
アドラーからロシア式車輪を実施する選手も多くみられましたが、肩の未転位姿勢が曖昧な実施が散見されました。ロシア式車輪が認定されるためには、下降局面からバーを越えるまで未転位の体勢を明確に示す必要があります。曖昧な実施にならないよう注意して練習を行なってもらいたいです。

選手権2部

ゆか:主審

吉田 義経

【採点の方向性】

・審判会議で確認した内容について
2022 年版高校適用規則(技数のみ10技↓ 8 技)の確認

◾️指針

①安定した実施を基盤に高められたDスコアを有する演技
②美しさ、力強さを表現した実施
③着地への準備局面を有し意識的に止められるアクロバット

 

◾️評価ポイント

①雄大なアクロバット的跳躍技の先取りのある安定した着地
②宙返りひねり技でのゆがみのない正確な実施
③グループⅠの旋回技や力静止技、柔軟技において丁寧で美しさを表現する演技
④コレオグラフ的な動きを意識し、リズミカルにフロアエリア全面を使用した演技

 

将来性を感じた実施、評価された内容について

◾️Eスコアが高かった演技の特徴

○アクロバットについて
・高さの見られる宙返り技や歪みのない正確な宙返りひねり技の実施
・着地準備があり腰や頭の位置の高い着地において安定して止めた実施

○グループⅠについて
・旋回技において腰の伸びた閉脚旋回やロシアン転向、雄大な開脚旋回
・力静止技において柔軟性や安定性の表現された実施
※ Eスコアの最高得点8.800、8.500以上は6演技であった。

【全体を通した所感】

10技の高校適用規則を技数のみ8技へと変更された規則である中、演技時間は75秒であることから次のような2つの特徴的な実施が見られた。
ひとつは10技以上実施と8技のみの技数の違い、もうひとつが演技時間の短い実施と70〜75秒の実施。これらの実施による採点上の減点はないものの、技数が少なく演技時間の長い実施については、技と技の間が長く感じたりアクロバットの前の2秒停止に該当する場合もある。評価ポイントにもあるように、リズミカルな演技の実施が求められている。

Aクラスでも記載しましたが、側転からとび前転のようなタンブリング間の動きにあたる部分において、リズムや美しさが不十分に感じる実施も見られた。

Bクラス、Aクラスと比較して歪みという部分において気になる実施が見えてきた。評価された内容にも記載したが、歪みのない宙返りひねり技はもちろん、助走やロンダートにおいても歪みのない実施を心がけてトレーニングに励んでほしい。

あん馬:主審

片山 潤

【採点の方向性】

以下の項目を評価のポイントとしました。

・腰高でスピード感のある旋回
・リズミカルな技の連続性
・大きさのある片脚振動と交差技
・縦向き旋回における正しい手の位置
・スムーズな倒立への持ち込みとコントロールされた倒立での3部分移動
・角度のある下向き転向下り

減点項目に記載している角度だけに捉われず、上記のポイントを意識している演技については積極的に評価していくことを確認しました。

【評価した実施について】

Eスコアの高かった演技の特徴としては2パターンありました。以下にその具体例を示します。

①脚をしっかりと上げた交差技からB難度の旋回技と移動技をなめらかに実施し、向きの正確な縦向き旋回から大きさのある下向き転向下りを行う演技。

②向きの正確な3部分前移動と後ろ移動、フロップやコンバインを織り込み、キレのある旋回倒立下りを実施する演技。

個々の技さばきについて言及します。まず、片脚振動において、意識的に脚を高く振り上げるさばきや、交差技において、技の後半に足先を高い位置に残すさばきが、横技のメリハリを引き立てました。

また、2部分の後ろ移動(いわゆるBバック)において、抜き正面支持の手をしっかりと引き、正確な縦向き正面支持になっているさばきも演技として魅力を感じました。現行ルールでは、縦向き旋回の正確性を、手の位置に言及して評価している側面もあるため、このようなさばきは高いEスコア、演技の出来栄えの評価につながりました。

将来性を感じた実施については、腰高な旋回をスピーディに、かつ安定して実施出来ている演技で、そういった選手にはEスコア8.30以上の高得点となりました。あん馬においては、演技が滞ることなく、技と技がスムーズに繋がっていくことも、良い演技のポイントとなります。

【全体を通した所感】

全162演技(0点演技を除く)の内、落下や大過失を伴わない横技を実施できたのは79名と全体の約半数に留まりました。終末技に倒立下りを実施した選手は92名で、そのうち終末技が不認定となった選手は17名となりました。

倒立への上昇局面で足先が45度を超えて下がった場合や、上昇局面での著しい停滞や明らかな力の使用が見られた場合に、終末技が不認定となりました。

また、交差とび横移動において、開脚支持姿勢になるよりも前に大腿部や臀部が馬体に乗ってしまい難度不認定となった実施は19例ありました。

1部選手権へのステップアップのために、技を増やして演技内容のレベルを高めていくところだと思いますが、あん馬の演技を、落下なくスムーズに実施するために重要な、腰の高い旋回を身に付け、正しい技術での技や技群の修得を目指していきたいところです。

採点上起きた問題点としては、以下の2点が挙げられます。

まず、他の競技会とは違い、ジュニア2部選手権は、難度の高いものから順に〈ベスト8技〉を難度点とする適用規則であるため、予定していたグループ点を獲得できなくなる演技が数例見受けられました。具体的には、グループⅠの技が正交差等のA難度のみで、他のグループでB難度以上の技が8技以上あった場合に、グループⅠが欠けてしまうような事例です。シーズン中にいくつかの適用規則に対して同じ演技構成を併用することもあるかと思いますので、競技会前に確認しておきたい項目です。

もう一点は、終末技のやり直しについてです。あん馬のみ「終末技は1回までやり直せる」という規則があります。これは、終末技が不認定となってしまった場合に、その減点を落下の1.0に留め、もう一度、終末技にチャレンジできるというものです。再チャレンジした終末技も不認定となってしまった場合には、そこで演技は終了となり、更なる終末技のやり直しはできませんのでお知りおきください。

今回の選手権2部あん馬では、素晴らしい技の実施がたくさん見られた一方で、演技における落下や技の不認定など課題も見られました。結果として、技の正確性と演技構成のバランスが、高得点への鍵となることが改めて示されました。今後の練習の参考になればと思います。

つり輪:主審

大久保 雄右

【採点の方向性】

通し技全体を通して、美しく丁寧に実施された演技を評価する。

・雄大でスムーズに実施された振動技を評価する。
・正確で美しい力静止技や倒立技を評価する。

 

【評価された実施について】

◾️Eスコアの高かった実施の特徴

・倒立の姿勢や安定感のある実施。振動倒立技は要求部分である為、正しい姿勢で動と静の表現をしてもらいたい。
・着地の準備局面の見える安定した着地。
・腕の曲がりや角度逸脱の少ない力静止技。

 

◾️魅力的な捌き

・振動からピタっと止まる振動倒立技
・腕の曲がり、ベルトタッチのない伸腕屈身力倒立

 

◾️将来性を感じた実施

・腰の入った後ろ振り上がり開脚水平支持
・着地をピタリと止めた後方かかえ込み2回宙返り2回ひねり

 

【全体を通した所感】

種目の特性上仕方ない部分もあるかと思うが、全体的にすぐに対応できるようなもったいないと感じる減点が多かったように感じた。また、力強さといった部分においては物足りなさを感じる演技が多かった印象がある。

構成に関しては、グループⅢの振動倒立技として「け上がり脚前挙支持」を大半の選手が実施をしていたが、肘の曲がりや足先の下がってしまう選手が多く、減点の少ない実施をする選手はほんの一部であった。また、脚前挙での静止時間も2秒に満たずに次の技を実施してしまう選手も多く見られた。

グループⅣの伸腕屈身力倒立においても、伸腕(B難度)、屈腕(A難度)どちらの実施をしているのか不明確な選手が多く、減点も多く発生した。

ウォーミングアップ時間では1人30秒を守らない選手が多く、輪を止める、とびつく、練習をするまでを含めた上でのアップ時間を普段の練習から心がけて行ってもらいたい。

ジュニア期という事で高難度の力技は見込めないが、その分A難度、B難度の技である脚前挙の姿勢や時間、力倒立の姿勢、振動技の正確な実施を心がけて習熟してもらいたい。倒立の決めや正確な姿勢での静止技を丁寧に行っている選手にはEスコアとしてしっかりと評価をしている。

今後としてはけ上がり脚前挙(グループⅢ)で満足する事なく、更なる発展の為に力技のトレーニングを行い、日本のつり輪強化に向けたジュニア期の準備を行ってもらいたい。

◾️高得点演技者

No.100 齋藤 大雅 選手(作新学院体操クラブ 高2)
Dスコア:4.3
Eスコア:8.4
決定点:12.700

跳馬:主審

伊東 貴志

【採点の方向性】

・高さと大きさを伴った雄大な跳躍
・準備局面があり、腰高で安定した着地を伴った跳躍
・踏み切り時の倒立位、第一・第二局面の姿勢欠点、着地の減点について確認を行った。

【評価された実施について】

・雄大かつ腰高で安定した跳躍
・足開きなどが見られない正確な実施をした跳躍

【全体を通した所感】

側転とびにおける第一局面の脚の開きが見られる。これは単なる実施欠点のみならず、技術欠点としての減点が課されることとなる。改善しようとする意識は年々高まっているように感じるが、さらに意識してもらいたい。

倒立位を垂直に通過しない脚の振り上げは、第二局面での跳馬の中心からの歪みに直結するので、これも減点が重複して加算されることとなる。

第二局面の雄大さは、演技の評価の大部分を決めると言える。実施する跳越技の価値点が上がるにつれて、跳越の大きさは当然増していく。雄大な跳越に価値があるとされている以上、高く、遠くに跳べた演技を評価することは不変である。

現行ルールでは価値点の高い跳越技であっても、正確な実施ができなければ評価されないということが明確になってきている。

着地の大きな乱れは、実施減点に加えて、着地の準備不足という技術的な減点にも抵触する可能性があるので、姿勢の乱れの少ない、腰の位置が高い着地でまとめることを意識してほしい。

平行棒:主審

三浦 純一

【採点の方向性】

・ひじ、ひざ、腰を曲げず、正確な倒立位を示し、雄大な終末技を行った演技を評価する。
・2秒以上の静止が必要な技(後ろ振り倒立、脚前挙、力倒立)について、静止時間不足の減点は厳密に行う。
・雄大かつ着地時の姿勢が高い終末技を評価する。

 

【評価された実施について】

・Dスコアの高低に関わらず、正確な倒立位を示し、美しいつま先を表現した演技を評価した。
・終末技において、明確に身体を開き腰高で着地した選手を評価した。

 

【全体を通した所感】

評価すべき点は着地である。全163演技中、転倒は14件で、例年と比べて半数以下だった。C難度以上の終末技において、着地を止めた演技が13件あったことからも、着地を意識した演技が多く、良い傾向だと感じた。

最大の課題は「静止時間不足」である。「脚前挙支持(2秒)」「伸腕屈身力倒立(2秒)」「後ろ振り倒立(2秒)」の3つの技は、2秒以上の静止が要求されており、静止時間が不足した場合、0.3の減点となる。

本大会ではこの減点項目に該当する演技が非常に多く、2秒以上の静止を意識していないと感じる演技も散見された。演技全体としては素晴らしい実施であり、仮にEスコアが9.0に相当する演技でも、静止時間不足が2ヶ所あった場合、Eスコアは8.4となる。

この不必要な減点は、意識をすれば必ず改善できると考える。各選手、監督、コーチは通し練習の段階から、ストップウォッチで静止時間を計測するなど工夫をして改善してほしい。

鉄棒:主審

佐野 智樹

【採点の方向性】

美しく安定した演技実施を評価することを前提とした上で、特に、抜きあふりを利用した正確かつ丁寧な車輪振動技、雄大で質の高い手放し技、高さがあり着地準備がしっかりと見られる終末技など、一つ一つの技の質を見極めて評価していくことを確認しました。

【評価された実施について】

演技全体を通して美しい姿勢で、一つ一つの技を丁寧に、そして終末技まで余裕を持って実施できている演技は高い評価を得ていました。閉脚のシュタルダーやエンドーの実施は近年増加傾向にあります。今大会においても足をぶつけたり、足先の乱れ、膝の緩みが見られる実施が多い中、姿勢を乱すことなく、スムーズに倒立まで持ち込む実施も僅かながらあり、そのような実施は高く評価されていました。

また、伸身トカチェフやヤマワキにおいて、空中局面でまっすぐな身体の姿勢を誇示する実施もあり、そのような姿勢の表現は審判員だけでなく、観客にも魅力的な演技に映っていたかと思います。さらに、ツォリミンを実施した選手の中で1名のみ、バーの真下で180度ひねった体勢を明確に示してから上昇局面へと移行している選手がいました。この技を実施したほとんどがバーの真下時にひねり不足が見られる実施だったこともあり、非常に印象に残る技実施でした。

【全体を通した所感】

今大会を通して、着地を狙うことができている選手が少ないという印象を持ちました。多くの選手が終末技として後方伸身2回宙返り1回ひねり下りを実施していましたが、腰を深く曲げて着地に持ち込むなど着地準備で欠点を伴う実施が多くありました。終末技とその着地は、演技の印象を決定づける大きな要因であると感じています。

将来的にさらに技を増やしていくことを鑑みると、この時期から終末技の質にこだわりを持って練習を重ねていってほしいと感じました。

また演技開始時に、懸垂姿勢での3回を超えたスイングや、はっきりと支持局面が見える後ろ振り上がり支持〜翻転倒立を実施してしまっている選手も見受けられました。男子体操競技情報第31号にも記載されているように、これらの実施には0.3の実施減点が課されます。定期的に基本的なルールの確認をしていただくよう、よろしくお願いします。

選手権1部

ゆか:主審

大久保 雄右

【採点の方向性】

 2022年版ルールでは以前と同様に、厳密に機械的に採点されるようになっている。
以下の項目や種目ごとの指針を念頭に、技の認定に際しては厳密に評価し、ルールに則りかつ演技の出来栄えを見極め評価するように努める。

  1. 安定した演技実施を基盤に、高められたDスコアを有する演技
  2. 美しさ・力強さを表現した演技
  3. 着地への準備局面を有し、意識的に止められる終末技

種目特有の評価ポイント

  1. 雄大なアクロバット的跳躍技の先取りのある安定した着地を評価する
  2. 宙返りひねり技での歪みのない正確な実施を評価する
  3. グループⅠの旋回技や力静止技、柔軟技において丁寧で美しさを表現するさばきを評価する
  4. コレオグラフ的な動きを意識し、リズミカルにフロアエリア全体を使用した演技を求める

【評価された実施について】

■ 魅力的なさばき

  • はまってしまった着地ではなく、ゆかに吸い込まれるようなピタリと止まる着地
  • 見上げるような高さのある宙返り
  • 準備局面を見せてからの着地
  • 頭の位置の高い着地姿勢
  • マンナから段階的に移行して倒立へ至る動作

■ 将来性を感じた実施

  • ビッグタンブリングでもピタリと止める着地
  • 宙返り連続のシリーズ系のタンブリングで、2つ目の宙返りに上昇局面が見られる実施

【全体を通した所感】

着地の減点が多い種目の特性上、Eスコアはなかなか伸ばせないところであるが、着地を動かないよう注意をしたり、着地の向きや準備局面まで気をつけて演技をしようとしている選手が増えてきたように感じられた。

要求である2回宙返りも95%以上の選手が実施をしており、昨年よりもルールに適応した選手が増えた。2回宙返りもバリエーションが増え、後方伸身2回宙返り1回ひねりや後方かかえ込み2回宙返り2回ひねり、後方伸身2回宙返りを実施する選手も増えてきた。

ひねり系の技や連続技に関しては、ひねり不足やプレなど、まだまだ正確な実施を行う選手が多くは見られないが、正確に実施して、着地まで止めている選手はEスコアが高く評価されている。
2つの宙返りの連続を行うシリーズに関しては、2回目の宙返りの高さを出し、コントロールのできた宙返りを評価した。

歴史的な減点項目ではあるが、一歩着地でのかかとを揃えない、コーナーへの単純なステップや移動、技やアクロバットシリーズ前の2秒以上の静止といった0.1の減点項目を軽視して減点されてしまう選手が多く見られた。Dスコアを0.1上げるには大変な努力を要するが、その0.1を技でない箇所で減点されてしまっているのはとてももったいない。

ジュニア期から、0.1を意識して演技を行うことは、今後大学・社会人へとステージが上がっていく中でもとても重要なこととなってくる。

つま先・指先まで美しく、ひねりの正確さ、ビッグタンブリングの雄大さ、着地の安定感のあるゆかの演技を目指して日々の練習に励んでもらいたい。

■ 最高得点演技者
No.363 山崎海音 選手(出水体操クラブ・高校3年)
Dスコア:5.6/Eスコア:8.566
決定点:14.166

あん馬:主審

能村 祐毅

【採点の方向性】

  • 身体が一直線に伸び、腰の位置が高く、スピード感のある旋回での演技実施を評価する。
  • 縦向きでの旋回や移動技での身体の向きを正確に実施した演技を評価する。
  • 倒立を経過する技では、停滞や力の使用がなくスムーズに倒立に持ち込むさばきを評価する。
  • 片足振動技・交差技において、振動や大きさを明確に表現した演技を評価する。
  • 演技中にバランスを崩すことなく、終始安定したリズムでスムーズに実施された演技を評価する。

【評価された実施について】

Dスコアや演技の長さに関わらず、雄大でスピード感のある旋回技や、振動を明確に表現した雄大な交差技を実施し、最後までリズムよくスムーズに実施された演技は高いEスコアとなった。一方、演技中の脚開きや膝曲がり、馬体への脚部の接触や縦向き旋回移動技での角度逸脱減点などはその都度減点されるため、そういった減点の多い演技は落下なく通ったとしても、高い評価にはつながらなかった。

今大会では161演技中、142演技(88%)の選手が倒立下りを実施していた。倒立に持ち込む際に力を使ったり、不安定になったりする実施が散見されたが、3部分移動やひねりを伴ったとしても最後までコントロールできていて、しっかりと片手倒立を示すような実施もあり、高い評価につながっていた。

【全体を通した所感】

Dスコアの平均は3.87、Eスコアの平均は7.28、決定点の平均は10.909(0点演技を除く)であり、高いとはいえない水準となった。その要因の一つとしては落下が多かったことが考えられる(161演技中55演技、そのうち複数落下は10演技)。もちろん、落下しなければいいというわけではなく、演技中の脚開きや膝曲がり、馬体への脚部の接触などが複数回みられる演技が多かったこともEスコアの平均が低い水準となってしまった必因であると考えられる。

また、選手権1部は一般規則で採点が行われるということで、技数不足(7技以下)となった演技は14例あった。これから技を増やしてDスコアも高めていくところだと思われるが、あん馬の基本となる質の高い旋回、正しい向きでの実施、力を使わないスムーズで美しい演技を目指して、日々の練習やトレーニングをしていってほしいと感じた。

構成に交差倒立技が入っている演技は10演技であった。交差倒立技は力の使用や停滞なく完全に腰を伸ばして振動で倒立に持ち込むことが要求されている。また、交差倒立技に限らないが、技の完了で開脚支持姿勢になる際に大腿部や臀部が馬体に乗ると不認定となってしまう。倒立に持ち込む時だけでなく、技の完了および次につながる動作についても振動で行うということを大切にして、スムーズな実施を心掛けていただきたい。

最後に、終末技のやり直しについて触れさせていただきたい。あん馬には「1回のみ終末技をやり直すことができる。」という規則があり、終末技を2回以上行うことは認められていない。そして、得点のことを考えると必ずしもやり直しをした方が良いとは限らない。

例えば終末技(D難度予定)が不認定となっても、転倒がなかった場合は予定していた終末技の分のDスコア(0.9)をやり直すことで取り戻したとしても、やり直した時に発生する落下減点(1.0)の方が上回ることで決定点は低くなってしまう。

やり直しをして決定点が高くなる場合の一つとして考えられるのは、終末技が不認定となることで技数不足によるNDを受けてしまう場合である。この場合は、やり直しをして技数を充足させることが有効である。

もう一つ考えられるのは、終末技が不認定になり、かつ着地で転倒してしまった場合である。この場合は転倒に対しての減点がすでに発生しているため、終末技をやり直すことで少しでもスコアを高められる可能性が残るケースである。

あん馬では演技を通しきることを前提として準備することになるが、落下した場合や終末技で失敗した場合など、様々なことを想定しておくことも肝要だと感じた。

つり輪:主審

太田 一茂

【採点の方向性】

■ D 審判
・力技・静止技の静止時間が2秒満たされているか、正しい角度と姿勢で実施されているか
 → 静止が見られないものは不認定とする。また、水平支持、中水平支持におけるあいまいな実施は一肢の位置が輪の中に収まっているかを基準に判断する。

・振動からの力技におけるエントリーポジションの角度
 → エントリーポジションが高い実施は終末姿勢の力技のみ認定するなど、実施により都度判断する旨確認した。
 (例:エントリーポジションが高いホンマ十字は、十字懸垂のみの認定)

・ヤマワキ、ジョナサンに停滞がなくスムーズに回転しているか
 → 停滞なく回転しているものを評価し、ホンマ+前転のように途中で支持が見られたりスムーズな回転が見られないものは不認定とする。

・振動倒立、脚前挙などの姿勢
 → 基本的な技であり、倒立に正しく収まっているか、脚前挙で脚が下がっていたり、正確な静止時間が保たれているか。

■ E 審判
・減点項目の確認
 → 静止技(静止時間、静止位置、姿勢、腕の曲がり、握り)
 → 振動から力技(エントリーポジション、移行時間、静止位置、姿勢、腕の曲がり、握り)
 → ヤマワキ、ジョナサン(回転がスムーズかどうか、支持が見られるかどうか)
 → 中水平支持の評価(両足の位置が輪の間に収まっているか、腕に体が触れていないか)
 → 曖昧な姿勢ではなく、正しい姿勢・静止時間が見られる演技を評価する。

【評価された実施について】

■ Dスコア分析
5.0以上:8演技
4.5〜4.9:24演技
4.0〜4.4:31演技
3.5〜3.9:37演技
3.5以下:12演技

■ Eスコアが高かった演技の特徴・魅力的な技さばき
Eスコア平均点:8.483
8.500以上:4演技
8.000〜8.466:37演技
7.500〜7.966:36演技
7.000〜7.466:28演技
6.500〜6.966:14演技
6.466以下:14演技
※0点演技を除く

8.000以上の評価を受けた演技を振り返ると、脚前挙支持(I1-1)、ヤマワキ(I1-2)、ジョナサン(I1-3)、後方車輪倒立(I1-5)、前方車輪倒立(I1-5)の評価が「減点なし」「小欠点(0.1)」程度の評価を受けたと思われる。

個人的な印象としても、基本的なA難度の技に対しても丁寧な実施を行っている演技に対して高評価が出ていると感じた。
前述の技は多くの選手が導入しており、基本となる技であるため、日々のトレーニングにおいても静止時間、姿勢に気を付けていただきたい。
その上で高難度の力技へ取り組んで、Dスコア向上を目指してほしい。

■ 将来性を感じた実施について
ほん転逆上がり十字倒立(I1-89)、後ろ振り上がり十字倒立(I1-95)を実施した演技が4演技あった。
そのうち1演技はエントリーポジションが5を超えていたため、十字倒立(I1-3)で認定を行った。
シニア大会でも横技に取り入れている選手は少なく、将来性を感じた。
しかしながら、エントリーポジション、静止時の角度の減点が多く見られた。
継続して演技に取り入れていくことで熟練度が増して、減点の少ない正しい実施を習得できるようになってくれることを期待したい。

【全体を通じた所感】

■ 力技・静止技・振動からの力静止技の静止時間に対して、短い演技が多く見られた。
それは高難度の技も、A難度の技も共通していた。
2秒未満の静止は中欠点(0.3)のため、Eスコアへの影響も大きい。
特に振動からの力静止技は、振動→静止した所からカウントスタートとなり、選手のカウントスタートと審判のカウントスタートでズレがあると感じた。
トレーニング時にスタートの確認を行う、ストップウォッチを使用して計測するなど、静止する意識を高めて欲しい。

■ ジュニア期のつり輪において、演技構成でD難度以上の力技を複数実施することはハードルが高いことと思います。
まずは振動技、B・C難度の力技を正しく実施すること。
その上で高難度の力技へ挑戦するステップを踏んで成長していただきたいと思います。

跳馬:主審

石川 輝

【採点の方向性】

以下の二つの項目を評価のポイントとした。
・高さと大きさを伴った雄大な跳躍
・準備局面があり、腰高で安定した着地を伴った跳躍

この二つにあわせ、着手時の倒立位、第一・第二局面の姿勢欠点、着地の減点について確認をした。

【評価した実施について】

・雄大かつ腰高で安定した跳躍
・足開きなどが見られない正確な実施をした跳躍

【全体を通した所感】

全159演技中(0点演技を除く)、側転とび系の跳躍を行った選手が146名と、全演技の大半を占めていた。その他の選手はロンダート踏切の技や前転とび系の技を実施していた。

特に側転系の跳躍では、第一局面で脚を開いて中欠点を伴う選手が多く、正確な実施を行うことができていなかったと感じた。Dスコア4.8(アカピアン)や5.2(ドリッグス)を実施する選手が増えてきているが、上昇局面が見られず、着地の準備で腰を曲げ、着地姿勢が低くなってしまっている跳躍が数多く見られた。ユルチェンコ系や前転とび系の跳躍も同様に、上昇局面が見られなかった実施が多かったと感じた。

また、全体を通して着地の際にラインオーバーをした選手が3分の1程度おり、跳馬に対して真っ直ぐな跳躍ができていなかった。ひねりの技術の発展により多くひねることができるようになったが、真っ直ぐに突き放すことができず、ひねりの軸がぶれた実施が多くなってきていると感じた。着手時に倒立位を垂直に経過し、突き手を入れて高さを出すことが高得点を出すことに繋がると感じる。

側転系の技だけでなく、ロンダート踏切の技、前転とび系の技でも、突き手を出して高さを伴った跳躍をすることが大切である。高さを出すことを意識しつつ、正確で雄大な実施ができるように意識をしてほしい。

平行棒:主審

三浦 純一

【採点の方向性】

 ・ひじ、ひざ、腰を曲げず、正確な倒立位を示し、雄大な終末技を行った演技を評価する。
・2 秒以上の静止が必要な技(後ろ振り倒立、脚前挙、力倒立)について、静止時間不足の減点は厳密に行う。
・雄大かつ着地時の姿勢が美しい終末技を評価する。

【評価された実施について】

・D スコアの高低に関わらず、正確な倒立位を示し、美しいつま先を表現した演技を評価した。
・終末技において、明確に身体を開き、腰高で着地した選手を評価した。

【全体を通した所感】

グループⅢ(枠下系、懸垂系)の技について、D難度以上の高難度技(枠下宙返り倒立、ティッペルト、バプサーなど)を美しく実施する選手が増えており、良い傾向である。

今後に向けて課題と感じたのは「支持振動技」である。グループⅢの技については良い傾向と述べたが、前振りひねり倒立やディアミドフの質が低下していると感じた。特にディアミドフは、落下や大きくバランスを崩す実施が多かった。本技を習得すべき時期にコロナ禍の影響があった世代であり、思い通りに練習ができなかったことも影響していると思うが、今後の日本の強化に向けて意識して改善をしてもらいたい。

鉄棒:主審

佐野 智樹

【採点の方向性】
梱技全体を通して美しく安定した派技を前提とした上で、雄大かつ質の高い手放し技、滑らかかつ丁寧で正確な技、高さがあり準備局面が見られる終末技、安定して止められた着地などを評価していくことを確認しました。

【評価された実施について】

高難度の技を多く取り入れているにも関わらず、終盤まで美しくキレのある技捌きを保っていた派技は高い評価を得ていました。また、余裕のある着地準備局面を見せ、腰高で着地を止めた選手は、当然ながら高く評価されていたと思います。いつの時代も共通して言われ続けていることではありますが、着地を止めるということは国内外の様々な大会において、順位を左右する非常に重要な要素になってきます。さらに、来年からはルール変更により、着地が止まることに対する加点が導入されることになっています。今より一層、日頃のトレーニングから着地に対する意識を高めていく必要があると切に感じています。

また、手放し技では、伸身姿勢が曖昧なトカチェフが散見される中、空中で伸身姿勢を意識的にアピールしている実施や、鋭い切り返しが見られる高さのある実施は、非常に魅力的な技捌きとして映りました。その他にも、スムーズで雄大なスイングによって実施された顛手背面車輪や、膝つま先まで意識され、倒立まで正確に収められた閉脚シュタルダー、閉脚エンドー実施など、質の高い技を実施する選手も印象に残っています。

【全体を通した所感】

前年と同様、閉脚シュタルダー、閉脚エンドーの実施は圧倒的に多かったように感じます。優れた実施も見られた一方で、足先の乱れやバーへの接触、倒立時の角度逸脱も多く見られ、評価が大きく分かれる技になっていると感じました。ロシア式車輪では「ⅰⅰ」の未転位の状態が不明瞭で認定されないケースも散見されました。正しく認定されるためには、下降局面からバーを越えるまで未転位の体勢を明確に保つ必要があります。曖昧な実施にならないよう注意して練習を行なってもらいたいです。

来年にはルールの改定があります。角度減点の基準、放れ技の難度価値や組み合わせ加点など改定が予定されており、指導の現場ではすでに様々な対策を立てられていることかと思います。しかし、どの時代であっても評価される演技の本質は変わらないように感じています。新しいルールに対応しつつも、鉄棒の種目特性にふさわしい、美しく滑らかでダイナミックな演技を今後も期待したいと思います。

種目ごとの審判講評(女子)

東西ABCクラス決勝大会

跳馬:主審

荒木 未央

【適用規則】

■ Aクラス

・2022年版採点規則変更1号補足まで適用
・花丸ルールを適用

■ Bクラス

・2022年版採点規則変更2号補足まで適用
・花丸ルールを適用

■ Cクラス

・ジュニア連盟女子Cクラス規定演技
2023年制定/2024年実施
・花丸ルール適用

【採点の方向性】

■ A・Bクラス

・ジュニア連盟採点指針
・情報33号 15歳以下の選手強化に向けた指針

■ Cクラス

・ジュニア連盟採点指針
・女子Cクラス規定演技の採点項目に基づいて採点する

■ その他

・丁寧な実施、一つ一つの技の実施に対して理想像を目指す。
・A・Bクラスで高い難度の技においても失敗しないことだけでなく、より美しく正確な実施を要求する。
・花丸採点は明確な基準のもとに花丸加点の内容を確認する。

【審判会議での確認事項】

・スピードのある跳躍
・正しい技術での跳躍
・高さ、距離のある雄大な跳躍
・着地の際、頭の位置が高い実施
・将来性のある演技

このような演技を評価し、そうでない実施に対しては厳密に減点することで、今後の跳馬の方向性を示していく。また、無理な技術での実施により将来性が失われてしまうことや、怪我へのリスクなども考慮し、正しい技術での演技を評価していくことを確認した。

【所感】

■ Aクラス

Aクラス全体を通しスピードのある跳躍では、Dスコアの高い跳躍に取り組むことができていた。しかし、スピードのない跳躍では、雄大性に欠ける実施が多かった。Dスコアの高い実施に挑むだけでは良い評価にはつながらない。

「ツカハラとび」入りの跳躍では脚の開きや鉛直面を通過しない技術で行われ、高さや距離(雄大性)が理想像に達していないと感じた。「前転とび」入りの跳躍でも脚の開き、身体の反りが目立つ実施が多く、そのような実施では着地姿勢でも減点の多い跳躍となっている印象である。

今大会では、頭の位置が高い着地を理想としていたが、そのような着地がとれていた跳躍はあまり多くはなかったので、Dスコアの高い実施に挑戦するだけではなく、理想像を高く持った跳躍を目指してもらいたい。

■ Bクラス

Bクラス全体を通し、身長の低い選手でも、Dスコアの高い跳躍に挑むことができていた。また、スピードのある跳躍では、高さ・距離(雄大性)を評価することができる実施も多く見られた。

しかし、第一空中局面での脚の開きや膝の曲がり、支持局面での進入角度や肘曲がりなどの減点が多い実施も見られた。

Aクラス同様に、Dスコアの高い跳躍に挑むだけではEスコアの評価には繋がりにくい。その選手の成長の段階に合わせた正しい技術で取り組むことが望ましい。また、無理にDスコアを上げていくことで減点が重なってしまうことや大過失につながることも懸念される。また、怪我につながるリスクなども高まってしまう。

基礎、基本に忠実に取り組むこと、正しい技術で行うことは将来の幅を広げることに繋がるので、経過を大切に日々の練習に取り組んでもらいたいと感じた。Eスコア9点にのるような実施をぜひ目指してもらいたい。

■ Cクラス

今年度から規定の改正でCクラスは「前転とび」の採点となった。決勝大会は東西大会での選手を勝ち抜いてきたこともあり、9点台が多く出ていた印象だったが、9点台後半にのるような実施は少なかった。

助走から第一空中局面、支持局面までのスピードがある実施は、第二空中局面の高さ、距離(雄大性)のある跳躍へとつながっていた。また、雄大性があることで着地の先取りも行うことができていたので、着地が止まる確率も高かった。

「前転とび」では理想像を高くもち、基本的な運動に正しく取り組むことで発展的な技にもつながっていく。ジュニアの時期に基本的な運動や技術を正しく習得できることは、今後Dスコアの高い跳躍に挑戦していくうえでは望ましいと感じた。

【A・B・Cクラス全体を通して】

跳馬は、日本が海外の選手と互角に戦っていくためには重要な種目である。今後も継続してDスコアの獲得に取り組んでいくのは日本の課題である。現在は、高いDスコアを跳ぶことができる選手も増えている。しかし、同じ跳躍でもEスコアの差があることは否めない。

その差を縮めていくためには、ジュニアの頃から基礎を徹底し、正しい技術を習得することが望ましい。今後の日本の体操が、より質の高いものとなるように選手、指導者、審判が共に協力して取り組むことが大切だと感じた。

最後になりましたが、今大会を通しご尽力いただいた大会関係者の皆様にはスムーズな進行を行って頂き感謝いたします。ありがとうございました。

段違い平行棒:主審

桒原 菜葵

【適用規則】

■ Aクラス

・採点規則2022年版変更規則
・女子体操競技情報33号までを適用

■ Bクラス

・採点規則2022年版変更規則II
・女子体操競技情報33号までを適用

■ Cクラス

・全日本ジュニア連盟Cクラス規定演技

◎全クラス、花丸判断基準適用

【審判会議について】

・各クラスの採点指針の確認
・採点指針に基づいた採点の方向性の確認
・アシスタントとの任務内容の確認

採点指針に則って、基本技を美しく正確に実施できている演技を評価する。角度だけでなく、過程の姿勢や技のリズムなどについても注視して採点することを確認した。

【競技会の全体的な所感について】

■ Aクラス

全体的に大過失が少なく、決勝大会に向けて練習を積んできている様子が伺えました。また、構成要求が1.5以上の選手が9割以上、終末技ボーナスが0.5以上の選手が6割で、高いDスコアの演技構成を目指していることが伺えました。

しかし、15歳以下の選手強化に向けた採点指針では、何より「美しさ・正確さ」が求められています。今大会は、その点で課題の残る実施が多かったように思います。ひねりを伴う技の完了角度や空中局面を伴う技での高さ、膝・つま先を含めた姿勢での実施減点が多く見られました。

その結果、Eスコアが8.0以上の選手は1名のみでした。7.0台の選手が7割を占めていました。採点指針に掲げられている「常に美しい姿勢」「技術欠点・姿勢欠点のない正確な基本技」について、今後の課題であると感じました。

■ Bクラス

決勝進出を果たした選手ということもあり、構成要求をすべて満たすことができる演技構成の選手がほとんどでした。

しかし、技の不正確な実施により構成要求が0.5下がってしまった選手が約4割もいました。それは「後ろ振り上げ倒立(閉脚)」の不正確な実施です。

Bクラスの適用規則である変更規則IIでは、構成要求の一つに「後ろ振り上げ倒立(閉脚)」があります。この技は、完了角度が10度以内で承認されます。今回、10度以上外れたことにより承認されず、本来構成要求を2.0獲得できるはずの演技構成なのに、1.5になってしまった選手が4割もいたのです。

まずは、段違い平行棒の一番の基本である「後ろ振り上げ倒立」については、完了角度や倒立に行きつくまでの姿勢や膝・つま先の欠点がない実施を目指していただきたいです。

なかには、常に姿勢が美しく振幅が大きな実施も見受けられました。今後、そのような演技が増えていくことを期待したいと思います。

■ Cクラス

全体的に大過失は少なかったのですが、不安定な技の実施は多く見られました。一番気になったのは「懸垂前振り1/2ひねり」です。

ひねりの姿勢や足先の乱れ、連動のスムーズさに欠点のある実施が多かったです。公式練習中には危険と感じるものも見られました。

後方車輪は振幅の大きさが見られ姿勢が良い選手でも、懸垂前振り1/2ひねりで崩れてしまう、というもったいない実施も見られました。基本技を正確に身につけた上で、そのベースを崩さずに技を進めていけるよう頑張っていただきたいと思います。

今年度から新規定となり、「前振り出し〜後ろ振り上がり浮き支持」から演技が始まりますが、その時の脚の上げ方(膝・つま先)や身体の使い方(スイング)で、美しさや振幅の大きさの差が出ると感じました。

基本技はもちろん、各技の姿勢やリズム等を含めた「理想像」を理解したうえで練習に取り組んでいただき、常に美しい姿勢で振幅の大きな演技が増えていくことを期待したいと思います。

平均台:主審

針谷 美智子

【適用規則】

■ Aクラス

・採点規則2022年版変更規則
・女子体操競技情報33号までを適用

■ Bクラス

・採点規則2022年版変更規則
・女子体操競技情報33号までを適用

■ Cクラス

・全日本ジュニア体操連盟Cクラス規定演技
・全クラス、花丸判断基準を適用

【審判会議での確認事項】

・各クラスの適用規則と花丸判断基準の確認
・情報33号及び15歳以下の選手強化に向けた指針に基づいた採点の方向性の確認
・アシスタント業務の確認

■ Aクラス

情報33号より、以下の採点指針を確認した。
「身体の細部まで常に意識された美しい姿勢」「技術欠点・姿勢欠点のない正確な基本技」を最重要項目とし、平均台の指針に沿った演技を評価する。

・美しい脚のラインと重心が高い立ち姿勢、高いトウ立ちとつま先まで意識された美しい足の動き
(1)姿勢欠点がない正確なアクロバット系の技の実施、ジャンプ・リープ・ホップに高さと身体の張りがあり、すべてのダンス系の技において姿勢欠点がない正確な実施
(2)身体を最大限に使い、演技全体に流れのある芸術的な演技

右記採点指針を踏まえ、採点指針をもとに各審判員は演技の理想像を持つこと、採点指針の内容に沿わない演技については、採点規則の減点項目のいずれかから減点をすることを確認した。

■ Bクラス

Bクラスの採点規則を確認し、Cクラスで培われた「身体の細部まで常に意識された美しい姿勢」「正確な技の実施」「身体を最大限に使った芸術的な演技」を評価することを確認した。

■ Cクラス

規定演技の意図と要点を確認し、「質の高いアクロバット系の技の実施」「正確で美しいダンス系の技の実施」を評価することを確認した。

【競技会全体的な所感及び今大会を通して感じた今後の選手の課題等について】

■ Aクラス

全体として、大過失は少なく、安定感のある演技が多く見られたように思います。多くの選手がDスコアの高い演技構成を組んでおり、演技全体を通して、印象的な演技だったと強く印象に残る演技もありました。開始技から流れるように演技をする選手や、手先足先までコントロールされた常に美しい姿勢で演技をする選手もいたように思います。

採点指針に沿った「技術欠点・姿勢欠点のない正確な基本技」ができる選手が増えているように感じ、今後の成長がとても楽しみです。

一方で、芸術的な実施について「大きさ不十分」「美しさに欠ける足の動き」「技と動きの流動性に欠ける」の項目で減点のある選手が多かったことは今後の課題であるように思います。体操競技の基本となる重心が高い立ち姿勢、足が台から離れたら膝・つま先を伸ばすこと、身体を最大限に使い、動きと技の間に滞りのない流れのある演技についての意識を高く持っていただき、より一層演技の質を高めていただきたいと思います。

■ Bクラス

Cクラスで培ってきた美しい姿勢での演技をする選手が多かったように思います。一方、落下やバランス崩れを防ぐために台をつかむなどの過失を伴う演技も目立ちました。

アクロバット系の技・ダンス系の技ともに様々な技に挑戦していましたが、正確な姿勢で実施できている選手とそうでない選手の差が大きかったように思います。

特にダンス系のジャンプ・リープ・ホップについては、姿勢欠点の目立つ選手が多かったように感じました。交差とびや前後開脚とびなど開脚を伴う技は、180度の開脚はもちろん、膝やつま先、上体の姿勢まで美しく実施できるように意識して練習していただきたいです。

また芸術性については、大きさが不十分な演技や、つま先が伸びない・足が緩むなど足元への意識が低い演技が多かったです。Dスコアを高めていくことと合わせて、身体を最大限に使った芸術的な演技への取り組みも期待します。

■ Cクラス

規定演技が新しくなり、限られた期間で演技を完成させることは大変だったように思います。平均台の演技は、技・動きともに様々な要素が豊富に組み合わされていますが、東西の予選を勝ち抜いて集まってきた選手たちは、減点の少ない美しい演技を披露してくれました。身体を大きく使って動き、手先足先まで意識の行き届いた素晴らしい姿勢で演技を行う選手もいました。

一方で、前方(後方)倒立回転、交差とびや前後開脚とびなどで開脚不十分な実施、ターンの回転不足などが目立ちました。試合の緊張感のある中でも姿勢欠点のない正確な技の実施ができるように、日々の練習に励んでいただきたいと思います。

また、立ち姿勢で膝が出ている・つま先が伸びていない選手が多くいると感じました。台をまたいで座った時の膝やつま先、浮脚を手で保持(180度開脚)した際の軸足の膝、一歩出した足のつま先まで意識しているか、技だけでなく動きの部分でも常に美しい姿勢で演技できるように、練習から意識を高く持って取り組んでいただきたいと思います。

ゆか:主審

高橋 洋子

【適用規則】

■ Aクラス

・採点規則2022年版変更規則Ⅰ
・体操競技情報33号を適用

■ Bクラス

・採点規則2022年版変更規則Ⅱ
・体操競技情報33号を適用

■ Cクラス
・ジュニア連盟女子Cクラス規定演技

※全クラス花丸ルール適用

【審判会議での確認事項】

■ Aクラス・Bクラス

体操競技情報33号に記載されているゆかの採点指針(15歳以下の選手強化に向けた指針)を確認。

  • 立ち姿勢や歩く姿勢も含め、常に身体の細部までコントロールされた美しい姿勢での演技
  • アクロバット系の技の高さがあり、着地姿勢までコントロールされた正確な実施
  • ジャンプ・リープ・ホップに高さと身体のハリがあり、すべてのダンス系の技においてコントロールされた正確な実施
  • 身体を最大限に使い、表情を含め表現力豊かで芸術的な演技

右記指針の内容を踏まえ、技の難度にとらわれずに「美しい姿勢」「正確な技の実施」「芸術的な演技」を評価することを確認した。

■ Cクラス

規定演技の意図と要点を確認し、すべての技や動きが美しい姿勢で正確に実施できているか、身体を最大限に使って動いているか、表現力豊かで芸術的な演技であるかを重視して採点することを確認した。

【全体的な所感と今後の課題について】

■ Aクラス

演技を行った24名のうち、Eスコア8.0以上を獲得したのは8名(33.3%)、7.0〜8.0未満が9名(37.5%)、7.0未満が7名(29.2%)でした。
8.0以上のEスコアを獲得した選手は一つ一つの技の実施減点が少なく、さらに芸術性の減点も非常に少ない演技を実施していました。
技の難度を追うだけでなく、芸術性に対して高い意識を持ち、身体を最大限に使って動こうとしている選手、音楽や振り付けに合わせて表情まで意識して演技しようとしている選手が多く見られたことは評価できる点だと考えます。

一方で、大過失がなくてもEスコアが伸びなかった選手も見受けられました。難度の高い技にチャレンジしたものの、着地で乱れてしまったり、ダンス系の技で不正確な実施になってしまったことで、結果的に減点が大きくなっていたように思います。
まずは基本的な技を欠点なく正確に実施することを重視し、確実に8.0以上のEスコアを獲得できる演技を目指していただきたいと感じました。

■ Bクラス

大過失を伴う演技は少なかったものの、全体的に技の不正確な実施が多かった印象です。
より難度の高い技にチャレンジしたいという気持ちは伝わってきましたが、結果的に実施減点が多くなってしまい、Eスコアが伸びなかったように感じます。

また、アクロバット系の技のことばかりに意識がいってしまい、技以外の部分の身体の姿勢や芸術性に対しての意識ができていない選手も多かったように思います。
具体的には立っている時に首(頭)が前に出ている、肩が内側に入っている、常に膝・つま先が緩んでいる、歩くときに踵からベタベタ歩いている選手が見受けられました。
美しい姿勢で立つ、膝・つま先を伸ばす、美しく歩くなどの基本的な動作はジュニア期に身につけておくことが重要だと考えます。

Bクラスの選手に対しては、まずは美しい姿勢での演技を徹底していただきたいと思います。
そしてアクロバット系・ダンス系の技については、難度の高い技に挑戦することよりも、まずはA難度やB難度、C難度の技を欠点なく正確に実施することを求めたいと思います。

■ Cクラス

全体的に一つ一つの技や動きを美しく丁寧に実施している選手が多く、出場選手24名中11名の選手が9.0以上のスコアを獲得しました。
また、身体を最大限に使った動きや表現力豊かな演技も多く見られ、16名の選手が花丸加点の対象となりました。

全選手が同じ曲を使い同じ演技を行う規定演技ですが、個性あふれる表現やその選手にしかできないような技さばきも見られ、非常に素晴らしい演技が多かったように思います。

一方で、立ち姿勢や膝・つま先の美しさに欠ける選手、ジャンプの高さや姿勢に欠点が多い選手も見受けられました。
Cクラスの規定演技は、ジュニア期に大事にすべき内容が詰まった演技構成になっていますので、10.00満点に近い演技を目指して頑張っていただきたいと思います。

選手権2部

跳馬:主審

栞原 香菜

【適用規則】

.採点規則 2022 年版変更規則
.女子体操競技情報 第33号 までを適用

【審判会議について】

 ・採点指針の確認
・採点指針に基づいた採点の方向性の確認
・線密と任務内容の確認

【競技会の全体的な所感について】

跳馬の採点指針の一つに「Dスコアの高い跳躍技」が掲げられています。選手権2部では、屈身ツカハラとび(Dスコア3.40)を実施する選手が毎年多く見受けられます。今年も約5割の選手は屈身ツカハラとびを実施していましたが、Dスコア3.60以上の跳躍技を実施した選手が全体の3割いました。少しずつDスコアの高い跳躍技に挑戦する選手が増えてきている印象を受けました。

また、表示された跳躍技とは異なる跳躍技と判断されたものが全体で38跳躍ありました。一番多かったのが、伸身姿勢の跳躍技(3.30と4.30)を屈身姿勢(3.20と4.20)と判断されたもので26跳躍ありました。ひねりを伴わない後方伸身宙返りは、頭が逆さまの位置まで伸身姿勢が保たれていることが承認要件になります。

そして、30度までの腰角度は認められていますが、それ以上の腰角度が見られた場合は、屈身姿勢で承認されます。このように、各跳躍技の承認要件を把握すること、また各跳躍技の理想像を持って練習に臨んでいただくことが大切だと思います。

【Dスコア(2跳躍中高い方のDスコア)】

跳躍技番号 跳躍技名 Dスコア 人数
1.00 前転とび 1.60 7名
1.02 前転とび1/2ひねり 2.60 6名
1.03 前転とび3/2ひねり 3.20 2名
3.10 かかえ込みツカハラとび 3.20 4名
3.20 屈身ツカハラとび 3.40 87名
4.20 ロンダート後転とび―後方屈身宙返り 3.20 8名
2.10 前転とび―前方かかえ込み宙返り 3.60 8名
4.12 ロンダート後転とび―後方かかえ込み宙返り1回ひねり 3.60 2名
4.30 ロンダート後転とび―後方伸身宙返り 3.60 4名
2.20 前転とび―前方屈伸宙返り 3.80 3名
3.12 かかえ込みツカハラとび1回ひねり 3.80 10名
3.30 伸身ツカハラとび 4.00
2.21 前転とび―前方屈伸宙返り1/2ひねり 4.00 1名
4.32 ロンダート後転とび―後方伸身宙返り1回ひねり 4.20 1名
3.32 伸身ツカハラとび1回ひねり 4.40 10名

【採点傾向と課題】

「スピード感があり、高さと距離を伴うダイナミックな実施」「着地の先取りができた高い姿勢での安定した着地」の2つの採点指針においては、課題が残る実施が多かったです。その表れとして、Eスコアが8.00〜8.50の選手が全体の約6割を占めていました。

スピード感がなくダイナミックさに欠ける跳躍については、自然と高さと距離の減点が伴ってきます。さらには、高さ不足により高い体勢での安定した着地はできず、着地減点も伴います。Dスコアの高低に関わらず、スピード感がありダイナミックな跳躍を目指してほしいと思います。

ただし、スピード感やダイナミックさがある実施でも、各局面で膝の曲がりや脚の開き、姿勢等の欠点がありEスコアが伸びない実施もありました。各局面において、基本姿勢の減点や技術不良がある跳躍は、その部分の減点のみならず、やはり着地減点も伴ってきます。さらにはライン減点にも繋がり、実際に1本目・2本目の全跳躍を合わせてライン減点が60跳躍もありました。

また、怪我が心配される実施も見受けられました。実際に胴体着地や足から先に着地できず、無効となった実施が3跳躍ありました。大変危険な実施であり、大きな怪我に繋がりかねません。無効となった実施以外でもヒヤッとする実施はありました。その時だけのアクシデントだったかもしれませんが、基本から段階を追った練習を進め、未完成な跳躍を試合で実施することは避けていただきたいと強く感じました。

Dスコアの高い跳躍がさらに増えていくことを期待しますが、まずは基本練習を大切に取り組んでいただきたいと思います。膝・つま先はもちろんのこと、各局面における正しい姿勢を意識した、手先から突き上がりのあるダイナミックな跳躍が増えていくことを期待したいと思います。

段違い平行棒

大澤 都

【適用規則】

・採点規則2022年版 変更規則
・女子体操競技通報33号までを適用

【審判会議での打ち合わせ】

・採点指針の確認
①腕の曲がり、膝・つま先の緩みがない美しく伸びた体線での正確な技の実施
②車輪系の技や支持回転系の技、空中局面を伴う技の振幅が大きいダイナミックな実施
③多様な技を組み入れ、組み合わせ点を獲得できる技構成

ただし、①②を満たせていない実施に対しては厳密に減点する。特に、け上がり、後ろ振り上げ倒立、車輪、支持回転系の技などの基本技は注視し、膝やつま先の緩みが見られる実施や、身体の姿勢が悪い実施に対しては、第8章「一般欠点と減点表」、第11章段違い平行棒「種目特有な実施減点」の該当項目に則り、厳密に減点することを確認した。

・アシスタントの任務確認

練習時間・中断時間の計り方、過失があった場合には記録を残すこと

【全体的な所感・今後の課題等について】

今大会で印象に残っているのは、け上がりや車輪で肘や膝が曲がる、つま先が伸びない等の姿勢欠点が非常に多かったことです。特にけ上がりで脚を持ってくる時に膝が曲がる実施が多く見受けられました。

Eスコアを見ると、全167演技中、7.00以上が40演技で約24%(8.00以上は1演技)、6.00以上が60演技で約36%、6.00未満が67演技で約40%でした。大過失があった演技も含まれてはいますが、7.00に満たない演技が非常に多いと感じます。

け上がり・後ろ振り上げ倒立・車輪などの基本技は演技の中に複数回入っているため、実施するたびに欠点があれば減点も多くなります。採点指針の一つ目にある「腕の曲がり、膝・つま先の緩みがない美しく伸びた体線での正確な技の実施」を目指して、まずは基本技を美しく正確に実施できるよう練習に取り組んでいただきたいと思います。

次に、未完成な技の実施が多いと感じました。複数回挑戦しても技が成立せず、難度点・構成要求ともに認められなかった実施や、技の承認ができても次の技に続けられず中間振動や落下してしまう実施がありました。

中には3回落下してしまう演技や、足から着地できない終末技、技の途中で手が外れて落下してしまう実施など、怪我につながりそうな危険な場面も多くありました。高いDスコアを目指した演技構成でも、欠点や落下が増えてしまってはEスコアが低くなり、高得点の獲得にはつながりません。

怪我をしないためにも、高得点を獲得するためにも、基本技を正しい技術・美しい姿勢で備えた後に、難しい技へチャレンジして欲しいと思いました。未完成な技を無理して演技に入れるのではなく、順を追って減点の少ない演技を目指していただきたいと思います。

最後になりましたが、今大会の運営にご尽力いただきました関係者の皆様、補助役員の皆様に感謝申し上げます。ありがとうございました。

平均台:主審

針谷 美智子

【競技方針について(ルール、選考基準、班編成等)】

・採点規則2022年版 変更規則一式
・女子体操競技情報第33号までを適用

【採点の方向性について】

審判会議

○平均台の採点指針について以下の4点を確認した。

・立ち姿勢や歩く姿勢も含め、常に身体の細部までコントロールされた美しい姿勢での演技
・正確で安定したアクロバット系の技の実施。ジャンプ・リープ・ホップに高さと身体の張りがあり、すべてのダンス系の技において姿勢欠点がない正確な実施
・身体を最大限に使い、演技全体に流れのある芸術的な演技
・高いDスコアの獲得を目指した演技構成
高いDスコアの獲得を目指した演技構成については、上記1〜3の条件を満たした上で評価することを確認した。

○指針をもとに、各審判員は演技の理想像を持つこと、指針の内容に沿わない演技については、第8章の減点項目および第12章「芸術性と構成の減点」(変更規則では一部減点幅の変更あり)、「種目特有な実施減点」、変更規則の「前向きでない構成」の減点を有効に使用し、採点を行うことを確認した。

○アシスタント業務の内容及び記録を残すことを確認した。

【競技会全体的な所感及び今大会を通して感じた今後の選手の課題等について】

2部選手権の平均台では、落下や転倒を防ぐために台をつかむなどの過失を伴う演技が非常に多く見られました。1つの演技で2回も3回も落下するケースも少なくありませんでした。

アクロバット系の技では、着台できずに落下する選手や、片足踏切、前方開脚伸身宙返りなどでは回転が足りずに転倒するといった実施が目立ちました。練習でもあまり成功していない技に挑戦しているのではないかと感じられる場面もありました。

平均台は、失敗のリスクを伴う種目ではありますが、技を実施するたびに転倒する、大きくバランスを崩す演技は、「正確な技の実施」という観点から評価できるものではありません。難度の高い技の獲得ばかりにとらわれず、基礎を大切にし、正確で安定感のある演技を目指していただきたいです。

ダンス系の技では、技として承認できない実施が見られました。輪跳びでは足の高さが頭頂部に届かないもの、アーチ姿勢が不十分なもの、横向きのジャンプやしゃがみ立ちターンではひねりが不十分と判断され承認されなかったものが多かったように思います。

ダンス系の各技で求められている要件を正しく理解し、確実に実施できるようにしていただきたいです。

一方、演技構成においては、構成要求(CR)を満たせていない演技はほとんどなく、組み合わせ点やシリーズボーナスの獲得を目指した演技もいくつか見られました。

今後より高いDスコアを獲得するために、CVやSBの獲得を目指した演技に取り組む選手も増えると思います。基本の技の習得をおろそかにせず、技の完成度を高め、どの技でも次の技に繋げられるような正確な技の実施、着地まで安定した演技を追求していただきたいと思います。

芸術性については、「身体の姿勢が悪い」「大きさ不十分」「美しさに欠ける足の動き」をはじめ、多くの項目で減点のある選手が多いように思いました。また、技を実施する度に「調整」や「停止」の減点がある選手もいました。美しい立ち姿勢や膝、つま先を伸ばすこと、台から足が離れたとき、台をまたいで座ったときに足先まで意識して動くことは、体操の基本です。また、とどまりの多い演技は、リズムとテンポに関する減点も適用されます。工夫することによって減点を減らすことができるものもありますので、今一度演技構成を含めて演技を見直していただき、より質の高い演技を目指していただきたいと思います。

最後になりましたが、本大会の運営にご尽力された大会役員ならびに関係者の皆様、補助スタッフの皆様に感謝申し上げます。ありがとうございました。

ゆか:主審

井上 和佳奈

【適用規則】
・採点規則2022年版 変更規則
・女子体操競技通報33号までを適用

【審判会議での確認事項】
〇情報33号より、以下の採点指針3つを確認した。

・立ち姿勢や歩く姿勢も含め、常に身体の細部までコントロールされた美しい姿勢での演技
・アクロバット系の技に高さがあり、着地姿勢までコントロールされた正確な実施
 ジャンプ・リープ・ホップに高さと身体の張りがあり、すべてのダンス系の技においてコントロールされた正確な実施
・身体を最大限に使い、表情を含め表現力豊かで芸術的な演技

〇Eスコアについての確認

指針に沿った演技ができているか・認識できているかを見極めて採点すること、指針を踏まえ、各審判が演技の理想像を持ち基準を統一し採点するよう確認を行った。

採点指針に沿わない演技については、採点規則第8章「一般減点項目」、第13章ゆか「芸術性と構成の減点」、および変更規則の「前向きでない構成(0.10/0.30/0.50)」、「身体の姿勢が悪い(0.10/0.30)」、「大きさ不十分(0.10/0.30)」、「つま先が伸びない/足が緩む/足が内向き(0.10/0.30)」を有効に活用し採点していただくよう確認を行った。

また、ダンス系の技の姿勢や正確性、身体の張り、そして表情を含めた表現力を注視し、指針に沿った演技と沿っていない演技との差をつけて採点をしていただくよう確認を行った。

〇アシスタント審判の任務の確認
・線審、計時の任務の確認
・減点については質問対応ができるように記録しておくよう確認を行った。

【全体的な所感と今後の課題について】
Dスコアは1点台前半から5点台半ばまでと幅がありました。今年度の指針は、高いDスコアの演技につながる基礎がしっかりとできた演技、つま先までコントロールされた美しい演技を評価する指針であるため、高いDスコアを目指した演技よりも、基礎を重視した演技や、演技全体を通してつま先まで意識した演技が多いように感じました。

また、ダンス系の技の承認要求を満たしている実施は多くなってきていると感じましたが、高さや姿勢という点での正確性については今後の課題であると感じました。

今後の課題として、
一つ目に、アクロバット系の技におけるひねりの正確性を意識してほしいと感じました。後ろ向きで着地する技においては意識できていると感じましたが、前向きに着地する技でのひねり不足が気になりました。ひねり不足によって組み合わせ点がなくなってしまった演技もあったため、それを防ぐためにもアクロバット系の技におけるひねりの正確性を意識して練習をしてほしいと思います。

二つ目に、芸術性についてです。身体を最大限に使った動きを意識して演技ができていると感じますが、いざ技を行おうとすると、直前の動きが小さくなってしまったり、止まっているように見える演技が多かったように感じました。動きと技の切れ目を見えにくくして、繋げて演技ができるとより芸術性のある演技になると思います。また「表情」まで意識された演技は少なかったようにも感じたため、身体を最大限に使った動きに合わせて、表情まで意識した演技が増えていってほしいと感じました。表情もワンパターンに偏らず、様々な表情が見えるような演技ができるよう意識して練習に取り組んでほしいと思います。

三つ目は、ダンス系の技における正確性です。承認要求は満たしてきている傾向にありますが、ジャンプ・リープ・ホップでの身体の姿勢の欠点や身体の「張り」がない実施が多く見受けられました。ただ承認要求を満たすだけではなく、高さや身体の姿勢まで意識されたダンス系を心掛けてほしいと思います。

最後に、大会運営にご尽力いただいた大会役員・競技役員の皆様、そしてセクレタリーを務めていただいた小学生・中学生の皆様には心より感謝申し上げます。

選手権1部

跳馬:主審

白川 千尋

【適用規則】

・採点規則2022年版
・女子体操競技情報33号を適用

【審判会議での打ち合わせ】

(1)採点指針の確認
情報33号の採点指針に則り「Dスコアの高い跳躍技」「跳躍全体にスピード感があり、高さと距離を伴うダイナミックな跳躍」「着地の先取りができた高い体勢での安定した着地」の3点を重視し、各審判が各技の理想像を持って採点を行うことを確認。第一空中局面の膝の曲がりや脚の開き、支持局面のひねり不十分、着地の姿勢に特に注視し、各局面において著しい技術不良や、危険を伴うような未完成な跳躍、ダイナミックさに欠ける跳躍に対しては、第8章「一般欠点と減点表」、第10章「種目特有な実施減点」の項目を有効に使用し、厳密に減点することを確認。採点指針の確認後は、映像研修にて共通理解を図った。

(2)アシスタントの任務の確認
線審の任務として、練習回数のカウントおよびラインの踏み越しの判定を行うことを確認。また、コーチからライン減点の再確認の要求があった際に備え、過失の状況を記録することを確認した。

【競技会の全体的な所感】

今大会では情報33号採点指針に掲げられている「高いDスコア」を目指して練習に取り組んできた様子が選手から見受けられました。その中でも、ダイナミックかつ高い体勢で安定した着地まで完成度を高めている選手は、高いEスコアを獲得することができていました。

その一方でDスコアの高い跳躍技に挑戦していても、第一空中局面での膝の曲がりや脚の開き、支持局面でのひねり不十分などの項目において0.3の減点が伴うような跳躍については、高い評価を得ることができませんでした。また、着地の先取りができずに低い着地になってしまう跳躍についても、高いEスコアを獲得することはできませんでした。さらに、怪我をしてしまうのではないかと心配されるような未完成な跳躍も、一部に見受けられたのは残念なことです。

【今後の課題等】

採点指針では「Dスコアの高い跳躍技」を推奨はしていますが、高さと距離のあるダイナミックさと高い体勢での着地が求められます。高いDスコアに挑戦しても、「ようやく足から着地できた」というような跳躍では減点が多くなり、高いEスコアにつながりません。

また第一空中局面での減点が多い跳躍や、第二空中局面での姿勢欠点が多い跳躍も、高いEスコアを獲得するのが難しくなります。

今後はひねりの回数を増やしたりして高いDスコアに挑戦する選手が増えていくことを期待しておりますが、やみくもに怪我にもなりかねない危険を伴うような実施で挑戦してはなりません。難しい跳躍技に挑戦する前の基本技で、姿勢欠点の少ない跳躍、着地の先取りができるような雄大な跳躍を習得した上で、次の段階に取り組んでいただきたいと思います。

跳馬の演技はたったの数秒ですが、「高さやスピード」がこの種目最大の魅力です。誰が観ても感動するような「ダイナミックさ」を表現できるように、日々練習に励んでいただきたいと思います。

段違い平行棒:主審

阿部 恵子

【適用規則】

・採点規則2022年版
・女子体操規則情報33号を適用

【審判会議での打ち合わせ】

・採点指針の確認

指針①
「腕の曲がり、膝・つま先の緩みがない美しく伸びた体線での正確な技の実施」について
基本的な技(け上がり・振り上げ倒立・後方車輪など)の姿勢に注視し、欠点のある演技に対しては厳密に減点し、姿勢の良し悪しを明確に得点で示す。

指針②
「車輪系の技や支持回転系の技、空中局面を伴う技の振幅が大きいダイナミックな実施」について
各技の振幅が小さい実施に対しては、技の高さ(大きさ)が不十分の減点項目を有効に活用し減点をする。

右記指針①②を満たせている上で、

指針③
「多様な技を組み入れ、組み合わせ点を獲得できる演技構成」について
日本の段違い平行棒の強化の側面から、姿勢欠点等がない技で、積極的に空中局面を伴う技や組み合わせに取り組んでいる演技を評価する。

以上の指針を踏まえたうえで、映像による採点研修を行った。
・アシスタントの任務確認
・審判団の確認
公平公正な採点をすることをお願いした。

【所感と今後の課題】

指針①「腕の曲がり、膝・つま先の緩みがない美しく伸びた体線での正確な技の実施」について
美しい体線で演技ができている選手もいるが、け上がりでの肘の曲がり、振り上げ倒立でのつま先の緩みなど体の姿勢が悪い実施、後方車輪での膝・つま先の緩みなどの欠点のある実施が多く見受けられた。ジュニア期には第一に美しい姿勢での技の習得を目指していただきたい。

指針②「車輪系の技や支持回転系の技、空中局面を伴う技の振幅が大きいダイナミックな実施」について
振幅が小さい実施は、姿勢欠点や技の高さ(大きさ)不足などさまざまな減点項目に該当する傾向にある。バーの振動を有効に使いダイナミックな実施を目指して欲しい。シャポシニコヴァ系の技(マロニーなど)に取り組む選手が増えてはいるが、高枠懸垂で「後ろ振りが水平より低い」「膝が曲がる」「脚または膝の開き」などの減点項目に該当する選手が多かった。

指針③「多様な技を組み入れ、組み合わせ点を獲得できる演技構成」について
日本選手の演技構成は似通ったものが多く、空中局面を伴う技もほとんどの選手が同じ技を実施している。そして、Dスコアも決して高いとは言えない。この種目で世界と対等に戦うためにはDスコアを高めていくことが求められるが、ジュニア選手には基本的な技を美しい体線で習得したうえで、さらに高難度の多様な技、組み合わせに挑戦していただきたい。

173演技中(0点3名含まず)

・Dスコア最高得点:5.6(2名)

・Dスコア内訳:

 5.0以上→19名
 4.5〜4.9→50名
 4.0〜4.4→70名
 3.9以下→34名

・CRが満たせていない選手(大過失により技の承認ができなかった選手は除く):27名

1.5→16名
1.0→11名

・C V獲得者

(終末技ボーナスは含まず)39名
 0.1→32名
 0.2→6名
 0.3→1名

・終末技ボーナス獲得者 45名

・Eスコアの内訳

 8.00以上→6名
 7.50〜7.966→35名
 7.00〜7.466→44名
 7.00未満→88名

最後に、大会当日までご尽力いただいた大会関係者のみなさま、大会当日の記録係等でお手伝いいただいた群馬県の生徒さんに感謝申し上げます。ありがとうございました。

平均台:主審

黒須 真希

【競技方法について】

 ・2022年版採点規則
・体操競技情報33号適用

採点の方向性について】

◾️平均台の採点指針

・立ち姿勢や歩く姿勢も含め、常に身体の細部までコントロールされた美しい姿勢での演技

・正確で安定したアクロバット系の技の実施

・ジャンプ・リープ・ホップに高さと身体の張りがあり、すべてのダンス系の技において姿勢欠点がない正確な実施

・身体を最大限に使い、演技全体に流れのある芸術的な演技

・高いDスコアの獲得を目指した演技構成

この指針に沿った演技を理想形として、採点を行う。

【競技会の全体の所感について】

全体的に、一つ一つの技を丁寧に実施しようとしている選手が多くいたように感じました。また、技以外の部分にも意識を高く持って練習してきたことが感じられる演技が見られました。

実際のEスコアの割合を見ると、8.0以上が6%、7.5〜7.9が20%、7.0〜7.4が27%、6.5〜6.9が18%、6.0〜6.4が13%、5.9以下が16%でした。

また、落下(終末技の転倒含む)については、落下なしが62%、落下1回が29%、落下2回が12%、落下3回以上が2%でした。

全体の62%の選手が落下なく演技ができたことは素晴らしいことだと思います。

さらに、技の承認ができなかった選手は全体の5%でした。完成された演技を発表した証拠ではないかと感じました。気になるところは、18%の選手が落下なし、Eスコアが7.0以上、落下1回でEスコアが6.0以上を獲得できない演技を行っていることです。まずは、Eスコアが7.0以上獲得できる演技ができるように、各技の減点を減らせると良いと思います。

【今大会を通して感じた今後の選手の課題等について】

今回、とても魅力的な素晴らしい演技を見せてくれた選手が何名かいました。とても感動しました。

全体を通して、一番感じたことは「立ち姿勢」に差があることでした。「立ち姿勢」が悪い選手は、姿勢に対する意識が低いため、技を実施している時も技以外の動きの時も姿勢が悪く、各技の減点と芸術性と構成の減点が多くなっている印象でした。「立ち姿勢」や各技の姿勢に対しての意識が高い選手の割合が多くなってきて、姿勢に対しての意識が低く、身体の姿勢が悪い選手が目立つようになってきたように感じます。演技を開始した瞬間から終始まで、常に身体の細部までコントロールされた美しい姿勢ですべての技、動きを行えるようにしてほしいです。

平均台はCRを獲得するために、ターンやジャンプを実施し、8つのDVに入らないA難度・B難度の技を演技の中に入れている選手が多いです。ジュニア期は、まずA難度やB難度の技が正確に減点なく実施できることを目指してほしいと思います。

今大会は、62%(107名)の選手が落下なく演技を行いました。緊張した中で、これだけの選手が落下なく演技が行えることは素晴らしいことだと思います。これからは、8.0以上のEスコアを獲得できる演技を目指してほしいと思います。8.0以上のEスコアを獲得するには、落下やふらつきのない安定した技の実施ができること、各技の減点を減らすこと、そして、芸術性と構成の減点を減らすことができなければなりません。

今回、6%(11名)の選手が8.0以上を獲得し、3%(6名)が落下1回で7.0以上のEスコアを獲得しています。これからも美しく魅力的な演技を目指して頑張ってください。

ゆか:主審

高橋 洋子

【適用規則】

・採点規則2022年版
・体操競技情報33号を適用

【審判会議での確認事項】

体操競技情報33号に記載されているゆかの採点指針を確認。

・立ち姿勢や歩く姿勢も含め、常に身体の細部までコントロールされた美しい姿勢での演技
・アクロバット系の技の高さがあり、着地姿勢までコントロールされた正確な実施
 ジャンプ・リープ・ホップに高さと身体の張りがあり、すべてのダンス系の技においてコントロールされた正確な実施
・身体を最大限に使い、表情を含め表現力豊かで芸術的な演技
・高いDスコアの獲得を目指した演技構成

以上の4項目を重視し、指針に沿った演技とそうでない演技との差をEスコアにて明確に表すことを確認した。
また、技以外の部分にも注視し、種目特有な実施減点に該当する演技については減点項目に則り減点をすることを確認した。

【競技会の全体的な所感について】

今大会実施された170演技のうち、Eスコア8.0以上を獲得したのは12名(7.0%)、7.5以上8.0未満が36名(21.2%)、7.0以上7.5未満が56名(32.9%)、7.0未満が66名(38.9%)でした。

全体的に「美しい姿勢」「正確な技の実施」「芸術性」を意識して取り組んでいる選手、チームが増えてきている印象を受けました。
特にダンス系の跳躍技において高さと身体の張りがある正確な実施、芸術性において身体を最大限に使った動きや表現力豊かな演技が多く見られ、もう一度見たいと思う演技や、心が動くような魅力的な演技がいくつもありました。

一方で、アクロバット系の技については高い難度の技や組み合わせ点を獲得できる組み合わせを実施しているものの、ダンス系の技の実施減点や芸術性の減点が多く、Eスコアが伸びなかった選手も見受けられました。
また、種目特有な実施減点の「調整(振り付けのない踏み出し)」、「演技の開始直後にアクロラインを始める」、「アクロラインの後、間に振り付けがなく同じ対角線上で続けてアクロラインを実施する」、「アクロラインの後に1回より多く立て続けにアクロラインを実施する」、「アクロバット系の技で演技を終了させる」の項目に該当する演技が非常に多かったことが気になりました。

これらはルールを理解し、振り付け等を工夫することで避けられる減点です。無駄な減点を避けるため、改めてルールと選手の演技構成を確認していただきたいと思います。

【今後の課題について】

ゆかで高いEスコアを獲得するためには、アクロバット系の技の着地の減点を最小限にすること、ダンス系の技を美しい姿勢で正確に実施すること、そして芸術性の減点のない演技を目指すことが求められます。

アクロバット系の技については着地での跳びやステップだけでなく、着地の瞬間の姿勢も重要です。頭や腰の位置が低くなってしまうと「着地での姿勢の欠点 0.10/0.30」の減点となりますので、直立に近い姿勢で着地できるように頑張っていただきたいと思います。

ダンス系の技については、技の承認要件を満たすことはもちろんですが、より高さと身体の張りがある滞空時間の長いジャンプの実施、上体の姿勢や指先まで意識された美しい姿勢での実施、技の終わりまでしっかりとコントロールされた実施を目指していただきたいと思います。

芸術性については、特に「表情」が課題であると感じます。試合だけでなく普段の練習から表情を意識し、技を入れても演技の始めから終わりまで表情をコントロールできるように練習に取り組んでいただきたいと思います。

普段の練習ではどうしてもアクロバット系の技の練習に時間がかかってしまうかと思いますが、高いEスコアを獲得するためにダンス系の技や芸術性にも重点を置いて、完成度の高い演技を目指していただきたいと思います。

優勝の喜びと感想文(男子)

東西ABCクラス決勝大会

【男子Aクラス個人総合優勝】

アクバススポーツクラブ

藤田 兼理(中1)

今回の全日本ジュニアでの目標は個人総合優勝でした。まずは、その目標を達成できて光栄です。昨年は足の怪我で西日本ジュニアに出場できず、とても悲しく、悔しい経験をしました。そのこともあり、来年は絶対に優勝したいと思っていました。しかし、その年の11月下旬に肘を骨折してしまう事態となりました。その怪我は今までで一番大きい怪我で日常生活を過ごすだけでもとても強い痛みがあり、私生活が非常に困難な状況となりました。もちろん練習も何もすることができません。それでもあきらめずにできることを常に探しながら日々のトレーニングに励みました。そんな日々を4カ月もの間過ごしていく中で、少しずつ肘の状態も良くなっていきました。
種目練習ができるようになったのは4月でした。感覚を取り戻すことから練習を開始していきましたが、西日本ジュニアまでの期間は短く、なかなか感覚を取り戻せなくて苦しい練習が続きましたが、なんとか西日本ジュニアの当日を迎え試合に出場することができました。
西日本ジュニア大会では平行棒でミスが出たものの、全ての種目で落下等の大きなミスはなく、一位で通過することができました。ただ、もっといい演技がしたいという気持ちがあり、全日本ジュニアまで気を抜かずに努力を続けました。
そして迎えた全日本ジュニア大会。演技前はいつも通りの演技を意識して挑みました。鉄棒からスタートし、鉄棒、ゆかは自分の演技をしっかり実施することができましたが、あん馬で落下をしてしまいました。その時は正直とても焦ってしまいました。でも、すぐに気持ちを切り替えて終末技までしっかり演技を行いました。その後、気持ちの面で焦りがすぐになくなることはありませんでしたが、パリオリンピック団体決勝のシーンを思い出して、最後まで何があるかわからないと思い、最後まであきらめずに頑張ろうと思いました。
次の種目のつり輪では着地で危なかったものの、なんとか通しきることができて、跳馬、平行棒ではまだまだ課題が残る内容の演技となりましたが、大きなミスはなく自分の演技を見せることができました。その結果、個人総合で優勝することができました。あん馬で落下があったものの、最後まであきらめずにできたことはすごくよかったと思います。
優勝できたのも自分の持ち味だと思っているきれいで美しい体操を忘れずに頑張ったからだと思います。結果はよかったものの、自分自身満足のいく会心の演技ではなかったので、もっともっと練習をして最高の演技ができるように今後も頑張っていきたいと思います。
最後に、大会を開催していただいた役員の皆様や、指導していただいている先生方への感謝の気持ちを忘れず、来年、再来年に向けて頑張っていきたいと思います。ありがとうございました。

男子Aクラス優勝 藤田兼理選手の演技
写真提供:本人

【男子Aクラスベストコーチ賞】

アクバススポーツクラブ

村上 泰弘

この度は、ベストコーチ賞という素晴らしい賞を頂き誠に有難うございます。今回の受賞は、選手の努力と、その選手をサポートしてくれているクラブスタッフの協力、そして保護者の方の応援があっての事と改めて感じています。
昨年は西日本ジュニア直前に足首を捻挫し、大会直前までなんとか調整して出場できるように試みましたが、前日になっても到底演技ができる状態ではなかったため出場を断念しました。西日本ジュニアに出場できないとなると、当然目標としていた全日本ジュニアにも出場できないので、選手本人もかなり悔しそうにしていたことを今でも鮮明に覚えています。気持ちの切り替えには少し時間がかかりましたが、どんな状況でも前に進んでいかなければいけないと、できることから少しずつ来年に向けてのトレーニングを頑張ろうという気持ちで練習を始めました。
前回出場することができなかったAクラス。今年は中学1年生になるので予選を通過して全日本ジュニアに出場することだけではなく、上位入賞するために、さらに気持ちを高め冬期の練習に取り組み始めた矢先、あん馬の練習中に落下し肘を骨折してしまいました。その骨折により冬の大事な時期に4カ月間もの間、練習ができない状況になってしまいましたが、その間もできるトレーニングを一生懸命に行いました。度重なるケガを乗り越え、春先にようやく練習ができるようになり、まずは感覚を取り戻すことからはじめようと基本練習から行いました。感覚を取り戻すまでにもかなりの時間を費やしました。
選手はEスコアが大切だと理解はしているものの、Dスコアを上げたいという思いも強く技の練習に取り組み、私自身は同年代の選手たちはかなりレベルアップしているんだろうなと思いながらも、基本動作や姿勢が崩れてきたと感じたときには、美しい体操をすることの大切さを選手本人と何度も話し合い、今シーズンは、この演技構成できっちり試合をしようと決めました。結果、試合ではよい成績を収めることができました。今後、Dスコアを上げていく中でも体操競技に一番大切な要素、美しさを追求しながら更なるレベルアップを心掛けてほしいと思っています。
今回の経験は私自身にとっても、選手本人にとっても今後の体操人生において、大きな力になると思います。これからも選手とともに私自身も成長していけるよう、一日一日の練習を大切に取り組んでいきたいと思います。
最後になりますが、本大会を開催していただいた役員スタッフの皆様、ならびに審判員の方々のご尽力に深く感謝申し上げます。本当にありがとうございました。

【男子Bクラス個人総合優勝】

トミオカ体操クラブ

星川 友希(小6)

僕が全日本ジュニアに出場したのは、今回が2度目でした。昨年は西日本ジュニアと全日本ジュニア共に10位と、少し悔しい結果になりました。しかし、全日本に出場するという目標をひとまず達成したので、自分の中では結構良かったかなと思いました。
そして今年は、全日本ジュニアで優勝することが目標でした。西日本ジュニアと全日本ジュニアの両大会で優勝できたので、とても嬉しかったです。
全日本の試合では、開始前に先生から「とりあえず失敗をしなければ大丈夫。」と声をかけていただきました。その言葉を何度も思い出しながら、緊張しながらも集中して競技に取り組みました。
中でも一番印象に残っている種目は優勝した鉄棒です。鉄棒は全部の種目の中で一番苦手でした。規定演技のとびつきが少し怖くて苦戦していたので、なかなか良い演技ができていませんでした。練習では、少しでも脚や姿勢が良くなるように先生に指導していただきました。本番では練習の成果が発揮できたので、良かったです。
今回優勝することができたのは、いつも指導してくださっている先生方、一緒に練習をしている仲間、応援してくれる家族がいるおかげです。いつもありがとうございます。
これからもトミオカ体操クラブでの練習を大切にしていきたいと思います。また、来年からはAクラスになるので、良い成績を残せるように努力します。そして、たくさんの人から応援してもらえる選手になれるように頑張りたいです。

男子Bクラス優勝 星川友希選手の演技
写真提供:本人

【男子Bクラスベストコーチ賞】

トミオカ体操クラブ

冨岡 知広

この度は、ベストコーチ賞という素晴らしい賞を頂き、誠にありがとうございます。
この賞は、選手の日頃の努力と成長の結果であり、該当選手をサポートしてくれているクラブスタッフの協力、そして常に温かく見守っていただいている保護者の皆様の理解とご協力があってのことだと改めて感じております。
星川友希選手は、何事にも我慢強くコツコツと練習に取り組むことのできる真面目な選手です。昨年の大会ではBクラスに出場し個人総合10位という成績を収めました。私自身、星川選手は失敗もなく満足のいく良い演技を行ってくれたと思い、試合終了後に「良かったね」と言葉をかけようと考えていたところ、選手席で一人涙を流して悔しがっている姿を見て、純粋に優勝したかったのだな、私が思っているよりもっともっと上を目指していたのだなと感じました。来年の大会では優勝をさせてあげたいと強く思いました。
そこから冬場の練習では規定演技を徹底して練習し、時間をかけて丁寧に指導することを心掛けました。Bクラスの規定演技の内容は小学生の時期にしっかりと身につけておかないといけない基本技の内容になっており、規定演技の練習を続けていくことで自由演技の練習にもなり、夏場の大会では自由演技をしないといけない大会などもあり、その大会にもスムーズに入ることができ、自由演技・規定演技ともに無理をせずに質を高める練習、美しい演技を行う練習などを心掛け日々練習に取り組むことができました。
今年の大会では、西日本ジュニアでも個人総合優勝することができ、自信をもって全日本ジュニアに挑むことができました。選手自身もあまり緊張することなく、普段の練習通りの演技を行い、全日本ジュニアにおいても個人総合優勝することができました。
今後も、選手たちがさらなる高みを目指すために、私自身も成長し続ける必要があると感じています。コーチとしての役割は、選手たちに技術を教えるだけでなく、彼らのメンタル面や人間性の成長を促すことでもあります。これからも、選手たちが自分の限界を超え、夢を実現するためのサポートを全力で行っていきたいと思います。
最後になりましたが、本大会を開催して頂いた役員スタッフの皆様、並びに審判員の方々のご尽力に深く感謝申し上げます。本当にありがとうございました。

選手権2部

【選手権2部個人総合優勝】

清風体操クラブ

藤本 大翔(中3)

この度は、全日本ジュニア選手権二部において、個人総合優勝できたことを嬉しく思います。
昨年も二部で出場していて、四位という結果に終わり、とても悔しいと思い、一年間練習を頑張ってきました。今大会の目標は、ぶっちぎりで優勝することでした。優勝という目標は達成できましたが、ミスも多くギリギリでの優勝という形になり、満足のいく結果にはなりませんでした。
試合前の器具アップでは、調子も良くしっかりとポイントを確認していくことができました。最初のあん馬では、僕の悪い所であるすぐに固まってしまう演技が出ないように、縮こまらずに思い切って演技をすることを意識し、途中までは良い流れで演技をしていましたが、最後の下りで固まってしまい、落下してしまいました。
その後の吊り輪も、大きなミスはありませんでしたが、細かいミスがたくさん出て、上手く切り替えることができず、僕の一番の見せ所である跳馬でも、こけてしまいました。ですが、仲間に励まされ、監督にも「これ以上ミスを恐れながら演技をしても、これから先に何もつながらない」と言われ、しっかり気持ちを切り替えて落ち着いて平行棒、鉄棒と演技をすることができました。
平行棒の下りの着地は少し乱れましたが、僕の持ち味である力強い体操をすることができました。最終種目の床は、思い切って大きく演技することはできましたが、前半の2コースで着地が大きく乱れてしまいましたが、最後まで諦めずやり切ることはできました。
今回、このような結果を残すことができたのは、日々ご指導してくださっている先生方や、トレーナーの先生、いつも応援してくださっている家族、色んな人の支えがあってのことです。
来年からは高校生です。まずは、団体のメンバーに選ばれるために、僕の弱点である、すぐに体が固くなってしまう所や姿勢、膝、つま先の汚さを直してEスコアを上げられるようにし、団体に貢献できる選手になります。そのためには、日常生活から見つめ直して、自分に対する甘えを無くしていき、周囲の人から応援されるような人間になります。
そして来年、消風の団体メンバーとして、インターハイ、全日本ジュニアで団体優勝、個人で三位以内に入るのを目標にし、2028年にあるロサンゼルスオリンピックに出場し、団体と個人で金をとることを目指して、これからも努力し続け、日々練習に励んでいきたいと思います。
本当にありがとうございました。

選手権2部優勝 藤本大翔選手の演技
写真提供:オールスポーツコミュニティ

【選手権2部ベストコーチ賞】

清風体操クラブ

梅本 英貴

この度はこのような大変光栄な賞をいただきありがとうございます。もちろんこの賞は何より藤本選手の日々の努力の賜物であり、本当に感謝の気持ちでいっぱいです。
私が彼と練習を共にするようになったのは、清風に入学してきた中学1年生からです。彼は小学校4年生の時に病気により両足に大きな手術を行いました。そこから約1年間、車椅子で生活しなければいけない状況でした。入学してきた時は、ようやく体操ができるようになったぐらいでした。
当時のところ、私は「この子は競技復帰できるのだろうか」と非常に不安でした。しかし、私の心配をよそに彼は大きな夢を持ち、清風に入学を決め、コツコツと地道な努力を重ね、トレーニングに励みました。そうすると、中学2年生ぐらいになる頃からみるみる力をつけ、技を覚え、本来弱点になるはずの脚がどんどん強くなってきました。
そしてこの年、初めて出場した試合が全日本ジュニアの2部でした。ミスもありましたが、個人総合4位に入り、この試合を機に常に優勝を意識するようになりました。その後も1年間努力を重ね、今年、目標としていた個人総合優勝を今大会で見事勝ち取りました。
入学してきた時は「本当に競技復帰できるのだろうか」「上を目指して体操ができるのか」と不安だった選手が、ここまでこれた。子供たちの無限の可能性を改めて感じさせてもらえた大会となりました。
彼にとっては、まだまだ夢の途中です。これから高校に進学し、高校日本一、そしてオリンピックへの挑戦は続いていきます。この全日本ジュニア個人総合優勝を糧に、更なる努力を重ねてくれると信じています。
私自身も指導者として、彼から新たな経験・勉強をさせてもらい、子供たちの無限の可能性を強く感じました。そして指導者として「絶対に諦めない=可能性を決めてしまわない」など、当たり前のことを再確認し、もっと強い責任感を持って指導にあたらないといけないと強く感じる大会となりました。
最後になりましたが、毎年このような大会を開催されている多くの関係者に深く御礼申し上げます。

男子選手権2部 団体優勝
清風体操クラブチームのメンバー
写真提供:オールスポーツコミュニティ

選手権1部

【選手権1部 個人総合優勝】

市立船橋高校体操クラブ

角皆 友晴(高3)

この度の2024全日本ジュニア体操競技選手権大会で団体と個人総合で優勝することができ、大変うれしく思います。
全日本ジュニア体操競技選手権大会は私が小学4年生から出場させていただいている、とても思い入れの強い大会で、今年度が高校3年生として出場できる最後の大会でした。今年度で9回目の出場となりましたが、成功して嬉しかったこと、ミスをして悔しかったことと、たくさんの想いがつまっています。
また、これまで一度も個人総合で優勝をしたことがなく、いつかは優勝したいという強い想いがあり、日々の練習に打ち込んできましたが、この9年間を思い返してみると、ケガで思うように練習ができず焦りや落ち込んだ日も、ミスをして試合でいい結果が出なく悔しい思いをしたことも沢山ありました。
しかしどんなときも、諦めることなく体操を楽しみ、練習を重ねてきました。つらいこともきついことも、仲間と一緒に切磋琢磨しながら体操を楽しむことができたことは、体操競技を通じて私が得た一番の経験、財産であったと思います。そんな日々を過ごしながら、最後の全日本ジュニア選手権大会で優勝をすることができ、本当に嬉しく思います。
今大会を終わってみると、初優勝の嬉しさはもちろんありますが、シーズン直前に腰を痛めて思うような演技ができなかったり、細かいミスなどもあったりで悔しい思いも同時にあります。大会を通して様々な課題が見つかり、改善していかなければならない所が沢山あると感じています。結果だけに満足することなく、自分自身の理想の体操を追求しながら、これから先も成長を続けていくために努力していきたいと再認識しました。
来年度からルールも変更され、これまで以上に新しいことへの挑戦をしていかなくてはなりません。そして4年後にはロサンゼルスオリンピックが控えています。私の夢である日本代表としてオリンピック出場、そして金メダルを獲得できるように、残りの時間を無駄にせず有意義に使い、心身ともに成長していきたいと思います。
そしてどんな時も体操を楽しむ気持ちを忘れずに、頑張りたいと思います。

1部男子個人総合優勝 角皆友晴選手の演技
写真提供:本人

【選手権1部 ベストコーチ賞】

市立船橋高校体操クラブ

大竹 秀一

この度はベストコーチ賞という素晴らしい賞を頂きまして、誠に有難うございます。
この賞は角皆選手の日々の努力は勿論のこと、日頃から一緒に指導するコーチ陣、切磋琢磨する仲間や保護者の皆様、そして所属をこえて指導・サポートしてくださった沢山の方々の支えの中での受賞であると感じております。角皆選手の成長に力を貸してくださった全ての方々に、この場を借りて御礼申し上げます。
角皆選手は雄大さと巧みさを併せ持ち、観るものを魅了する演技をすることができる選手です。今年度はNHK杯で第9位となり、ナショナルに初選出もされ、近い将来世界に羽ばたく選手であると思います。
しかし、インターハイや全日本ジュニア前の大切な6月から、腰痛と手首の故障により継続した練習を詰めていない状態でした。身体が動かずもどかしい期間もありましたが、持ち前の明るさと「チームを団体優勝に導く」という強いキャプテンシーにより、悲壮感なく日々の練習に励みました。
大会本番では多少難度を落としましたが、自身がやってきたことを信じて6種目をやり切ることができました。また、昨年度の全日本ジュニアでは個人総合2位と悔しい結果であったため、今大会にかける想いが人一倍強かったのではないかと思います。
今回、歴史ある全日本ジュニア体操競技選手権大会での個人総合優勝を成し遂げたことは、今後の体操人生における大きな糧となると思いますが、それ以上に多くの方にサポートして頂きながら試合に出場できる喜びや感謝する気持ちを学べたことは、将来におけるかけがえのない財産になったのではないかと感じております。
来年度、角皆選手は大学生となりますが、ロサンゼルスオリンピック金メダル獲得を目指して、更なる競技力向上と同時に、体操競技を通じて人間性を高めていってほしいと思います。
最後になりますが、毎年大会運営をされている役員の皆様、審判の皆様、選手は皆様のおかげでいつも気持ちよく演技することが出来ております。深く感謝申し上げます。
誠にありがとうございました。

男子選手権1部 団体優勝
市立船橋高校体操クラブチーム
写真提供:オールスポーツコミュニティ

優勝の喜びと感想文(女子)

東西ABCクラス決勝大会

【女子Aクラス個人総合優勝】

なんば体操クラブ

藤後 瑞唯紗(小5)

今回、私は全日本ジュニアAクラスで優勝することができてとても嬉しかったです。昨年はBクラスに出場しましたが、失敗してしまい優勝することができませんでした。なので今年は絶対に優勝したいと思い、練習に取り組んできました。
まず、5月のAJG大会では段違い平行棒のパク宙返りや、平均台のターンなどで失敗してしまいました。このままでは西日本ジュニアや全日本ジュニアでは優勝することができないと思い、私が得意種目としている跳馬でユルチェンコ伸身を跳べるようにしたり、平均台やゆかの動きでは表現力を意識して練習しました。
得点差のある段違い平行棒ではエンドーなどの新しい技を通しに入れてDスコアをあげ、一つ一つの技の質をあげる練習をしました。また、西日本ジュニアの前には試合を想定した練習をたくさんしてきました。そのおかげで西日本ジュニアでは落ち着いて演技をすることができ、優勝することができました。
しかし全日本ジュニアでは中学生の人たちや上手な人がたくさんいたのでとても緊張しました。アップでは少しバタバタしてしまいましたが練習ではほとんど失敗することがなかったので自分に自信を持って演技をしました。
1種目目の平均台では昨年落下してしまった種目なのでとても緊張しましたが、いつも注意してもらっていることを一つずつ意識し、納得のいく演技をすることができました。
2種目目のゆかではアップであまり器具に合わせることができず、着地でたくさんはねてしまったりラインオーバーをすることがありましたが試合では思い切って、動きまで意識をして演技しました。
3種目目の跳馬はユルチェンコ伸身を取ってもらえるか不安でしたが1本目から承認してもらうことができたので良かったです。
最終種目の段違い平行棒は最終演技者だったのでとても緊張しましたが得意種目なので「思い切ってやろう!」と思って手を上げました。前半は倒立をはめることができて良かったですが、今回新しく演技に入れたエンドーで落下してしまい、とても悔しかったです。
今回の試合では、大事な場面でミスが出てしまったり、細かいところの減点など、反省点がたくさんありました。しかし、落下したあとに最後の着地まで諦めることなく演技し、減点を最小限におさえられたことが今回の優勝に繋がったと思います。
これからも成功するだけではなく、膝・つま先・姿勢などをもっと気にしてできるようにしたいです。また、試合会場でアップが落ち着いて出来ないと試合ではドキドキしてしまうので場所が変わったところでもいつも通りの確認ができるようにすることが今後の私の課題です。
来年は今よりもっとレベルアップした演技でお姉ちゃんたちと一緒に選手権1部のチームに入れるよう、DスコアもEスコアもたくさん上げられるようにしていきたいと思います。
今回、優勝することができたのは毎日、練習を見てくれた先生たちや試合でいない時も動画を見て注意をしてくれた山崎先生のおかげです。また、痛いところがあればすぐにみてくれる治療の先生や、どんな時でも笑顔にしてくれるお姉ちゃん、休みの日にはリフレッシュさせてくれる家族。たくさんの人のおかげで毎日頑張ることができたのだと思います。この感謝の気持ちを大切に頑張りたいと思います。ありがとうございました。

女子Aクラス優勝 藤後瑞唯紗選手の演技
写真提供:本人

【女子Aクラスベストコーチ賞】

なんば体操クラブngc

上田 葉美

この度はベストコーチ賞という素晴らしい賞を頂き、誠にありがとうございます。指導者として私自身をここまで育ててくださいました諸先生方のおかげだと、深く感謝しております。
藤後選手は積極的に練習に取り組み、自分の意見を発言し、コツコツと意識してやり続けることができる選手です。昨年の全日本ジュニアはBクラスで出場し、姉がAクラスで出場していたので「姉妹で優勝!」を目標に挑みましたが、初めての全国大会で緊張から普段の練習では出さないミスが出てしまい、姉は優勝しましたが姉妹での優勝は叶いませんでした。
あまり、感情を表に出す選手ではありませんでしたが、この悔しさを経験し、今年は絶対に全日本ジュニアAクラスで優勝すると言葉にも出し、練習の中でも0.1の取りこぼしがないよう一つ一つの技の質にこだわって練習を行ってきました。
また、昨年と同じことを繰り返さないよう試合を想定した練習を早い段階からスタートし、緊張した中でも、通しの中で技のポイントを考えながら演技することを意識して練習を重ねてきました。
今大会は、最も緊張する平均台からのスタートでしたが、想定した練習を繰り返し行ってきたので、いつも通りの演技でいいスタートをきる事が出来ました。3種目を終え、最終種目の段違い平行棒は藤後選手の得意種目であり、いつも通りの演技ができれば優勝できるという場面で、最終演技者でした。
前半は良かったのですが、下りに行く前の技でまさかの落下。「最後まで諦めないで丁寧にやるんだよ。」と声をかけ演技を再開し、下り技の後方2回宙返り1回ひねりをピタリと決めました。圧力はありましたが、0.1にこだわって練習してきたこと、最後まで諦めないでやりきったことが今回の結果に繋がったのだと思います。
また、大事な場面で自分の演技が完璧にできる選手を育てられるよう、声掛けや選手に考え方を教えていけるよう私自身が勉強して次にいかしていけるようにしたいと思います。
今回も課題が残る試合となりましたが、昨年のリベンジ・優勝を狙って優勝できたことは今後の彼女にとって大きな収穫となりました。また、今回の結果は藤後選手の努力の賜物でありますが、藤後選手のためにご尽力くださいました関係者の皆様のお力添えによるものだと確信しております。
今後更なる飛躍のために技術の向上・美しさを求めて日々努力できるよう、私自身も一生懸命頑張ってくれる選手に感謝し、選手と共に成長しながら頑張っていきたいと思います。
最後になりますが、体操協会関係者の皆様始め、各関係者の方々に心から感謝申し上げます。ありがとうございました。

【女子Bクラス個人総合優勝】

なんば体操クラブngc

石原 莉々奈(小5)

私は、今回全日本ジュニアBクラスに出場し、優勝できてとても嬉しかったです。
去年の全日本ジュニアでは21位でした。その時に見た他のクラブの選手は自分より技が多く、膝やつま先、姿勢がとてもキレイでした。私も強くて美しい体操ができるようになりたい、と思いました。
9月に大阪に引越し、なんば体操クラブに移籍しました。今年は西日本ジュニアと全日本ジュニアで優勝することを目標に掲げ、基本練習を中心にたくさん練習してきました。
分からないことや細かいところまで丁寧に毎日指導してくれた先生のおかげで、たくさんの技を覚えることが出来ました。夏の試合に向けて細かいところまで意識をして丁寧な体操が少しずつ出来るようになってきました。
準備はたくさんしてきたつもりでしたが、西日本ジュニアでは器具が変わり、違う場所での緊張もあり、アップから合わせることが出来ず、本番でもミスが出てしまいました。結果は3位でとても悔しかったです。
まだ自分に足りないところがたくさんあることに気づくことができ、全日本ジュニアまでに必ず優勝できる力をつけたいと思いました。そこから全日本ジュニアまでの2週間、試合を想定した練習をたくさんし、なぜ出来たのか、失敗したのかを考えて練習に取り組むようにしてきました。
先生のアドバイスや家族の応援もあり、自信を持って試合を迎えることができました。
試合本番ではいつも通りの演技ができるように心を落ち着かせて、アップから丁寧にすることができました。細かいミスや取りこぼしてしまったところはありましたが、緊張した中で大きなミスなく4種目演技することができ、目標に掲げてやってきたことが叶えられてとても嬉しかったです。
こうして結果を残せたのも、困っているときに声を掛けてくれたり、理解できるまで丁寧に教えてくれた先生たち、いつも背中を押してくれた家族のみんなのおかげです。これからも感謝の気持ちを忘れず、日々努力を積み上げていきたいと思います。
来年は選手権1部に出られるようにたくさんの技を覚え、技をするだけでなくEスコアをあげ、0.1を大切に美しい体操ができるように頑張りたいです。ありがとうございました。

女子Bクラス優勝 石原莉々奈選手の演技
写真提供:本人

【女子Bクラスベストコーチ賞】

なんば体操クラブngc

上田 葉美

この度はベストコーチ賞をいただき、ありがとうございます。
このような賞を頂けたのも日々一生懸命練習に励む選手・周りで支えて頂いているたくさんの方のおかげだと、深く感謝しております。改めて、恵まれた環境を与えて頂いていることを再確認することができました。
石原選手は昨年の9月に、なんば体操クラブに移籍をしてきました。注意されたことを素直に聞いて諦めることなくやり続けることができる強さがあります。全日本ジュニアBクラス個人総合優勝を目標に掲げ、一つ一つの技の質・姿勢を重点的に意識し、基本練習を中心に反復練習を行ってきました。
基本練習の積み重ねにより、多くの技を習得し演技を作り上げて来ましたが、7月の西日本ジュニアでは緊張とプレッシャーに負けてしまい、前日の会場練習・試合とバタバタし、普段の練習では見た事のない失敗をして、彼女の持っている力を出すことができませんでした。
西日本ジュニアの反省を活かして、全日本ジュニアまでの2週間は試合を想定し、緊張感のある練習を繰り返し、どんな状況でも自分の演技に集中して通しきる練習を積み重ねてきました。
当日はアップから落ち着いて良い確認ができ、本番でも大きな失敗をすることなく実力を発揮することが出来ました。今回、全日本ジュニアBクラス優勝は石原選手にとって大きな自信となり、良い経験になったと思います。
今回の結果は、掲げた目標に向かって日々諦める事なく1年間練習に取り組んだ結果であると思います。そして今回の結果は、石原選手の頑張りを応援して頂いた保護者の方、なんば体操クラブのスタッフ、共に切磋琢磨する仲間の協力があっての結果だと思います。
これからも支えて下さっている周りの方々への感謝の気持ちと素直な気持ちを忘れることなく、体操を楽しみながら努力を重ねて欲しいと思います。
また、体操を通じて人間性の成長を大切にし、たくさんの人から声をかけてもらい、いろんな人から応援される選手を育てられるよう、私自身も日々学び、選手と共に頑張っていきたいと思います。
最後になりましたが、この全日本ジュニア大会はジュニア選手の大きな目標であり、成長に繋がる場だと感じております。本大会の開催にあたり、ご協力いただきました多くの関係者の皆様に深く感謝・お礼申し上げます。本当にありがとうございました。

写真提供:オールスポーツコミュニティー

【女子Cクラス個人総合優勝】

加納体操クラブ

西田 柚子(小4)

私は全日本ジュニアに出場するのは初めてでした。緊張しましたが、失敗せずに丁寧に演技することを心がけました。優勝できてとてもうれしかったです。
優勝はできましたが、自分の演技に納得のいかないところがありました。一種目目の平均台は練習通りにうまくできました。しかし、二種目目のゆかの演技はふらつきが多く、曲と動きが合いませんでした。むしゃくしゃした気持ちのまま三種目目の跳馬をやりましたが、着地が止まりませんでした。着地止めの練習をたくさんしたのにショックでした。
最後の平行棒は、失敗したくないという気持ちから思いきりできませんでした。原因は、ゆかの演技でうまくいかなかった気持ちを切り替えることができなかったからだと思います。もっと自分の気持ちをコントロールできるようになりたいです。
練習では、技ができず悔しくて泣いてしまうこともありました。千絵美先生から、「最初からできる人なんていない、頑張ればできるようになるから」と気持ちを後押しされました。また、うまくいった時と失敗した時に何がどう違うのか、自分の中で考えながら練習をしたほうがいいとアドバイスを受けました。
その言葉を意識しながら取り組むことで、大会に向けて全力で練習することができました。
普段の生活では、学校の宿題や家庭学習はやるべきことなので、毎月スケジュール表を作り、体操の練習と両方がきちんとできるように計画を立てています。自分で計画を立てることは楽しくて、計画通りに進むと嬉しいです。
体操でも、自分がどうなりたいかを具体的に考えて、目標を持って取り組んでいきたいと思います。
私の目指す体操は、美しい体操です。日々の練習では、先生方が正しい姿勢やきれいな技とはどういうものかを繰り返し丁寧に教えてくれます。姉がクラシックバレエを習っているので、私も一緒にバレエを鑑賞したり、基礎を学んだりします。バレエの柔らかく滑らかな動きや表現はとてもおもしろいと思います。
知らなかったことが身につくことで、体操への考え方も変わって、体操が強さと美しさをもつ競技だなと感じるようになりました。そして、何事においても基礎が大切だと思いました。
体操は楽しいことばかりではないけれど、できなかった技ができると嬉しいし、賞がとれると、あの時粘ってよかったなと幸せな気持ちになります。これから、たくさんの失敗もすると思うけど、難しい技にも挑戦して、強く美しい体操選手になれるように少しずつ進歩していきたいです。
来年も全日本ジュニアに出場したいです。そのために、一日一日を大切にしていきたいと思います。
初めて出場した全日本ジュニアは、よかったこともうまくいかなかったこともふくめて、とても大きな経験になりました。優勝できたのは、先生方の丁寧な指導と、大会を目指して一緒に頑張ってきた仲間のおかげです。ありがとうございました。これからも頑張りますので、よろしくお願いします。

女子Cクラス優勝 西田柚子選手の演技
写真提供:オールスポーツコミュニティー

【女子Cクラスベストコーチ賞】

加納体操クラブ

青木 梨奈

この度は、ベストコーチ賞という素晴らしい賞を頂きまして、誠にありがとうございます。このような賞を頂けたのも、西田選手のひたむきな努力は勿論のこと、日頃より私を指導してくださる多くの先生方と保護者の方々の支えがあるお陰だと思っており、心より感謝しています。
西田選手はCクラス初出場となりましたが、東日本ジュニア、全日本ジュニアと2つの大会を通してミスのない堂々とした演技でした。緊張もあったかと思いますが、この大舞台で力を発揮できる西田選手の勝負強さはとても素晴らしいことだと思います。
また、今年度より規定の演技構成が新しく改定されましたが、演技の内容に合わせて細かいところまで練習を積む中で、選手自身が日々の練習課題をこなすことが大変な時期もあったかと思います。その中でCクラスに共に出場を目指す仲間と一生懸命練習に励む姿が見受けられました。
西田選手は柔軟性もあり、瞬発力もある選手なので未来がとても楽しみです。まだ4年生ですので、今大会の結果を糧にこれからも色んな技に挑戦して、持ち味の柔軟性を活かしながら、更に美しい体操を目指して欲しいと思っております。
また、これからも加納体操クラブの仲間や、たくさんの試合、合宿などを経験していく中で出会う所属をこえた仲間とも切磋琢磨し合って、体操競技というものを楽しく長く続けて欲しいという気持ちであります。
最後になりますが、今回ベストコーチ賞を頂けたことを励みに、私自身これからも選手育成にあたりたくさん勉強を重ね、未来に向かって一生懸命に頑張る選手の期待に応えられるよう精一杯邁進して参ります。本当にありがとうございました。

写真提供:オールスポーツコミュニティー

選手権2部

【選手権2部 個人総合優勝】

相好体操クラブ

中野 心愛(中3)

全日本ジュニア選手権2部において個人総合優勝、段違い平行棒2位、平均台優勝することができてとても嬉しく思います。これもひとえに幼稚園から指導してくださっている後藤先生、週末指導して下さっている外村先生、千鶴先生のおかげです。この場を借りて感謝いたします。
全日本ジュニア選手権の前に行われていた東海ジュニア選手権、東海中学生大会の平均台では落下し悔しい思いをしたので、全日本ジュニア選手権では「絶対落ちない!」という強い気持ちで個人総合優勝を目標に挑みました。
最初の種目は跳馬でした。跳馬はあまり得意ではなく4種目の中でも一番得点が取れないので膝やつま先、着地をより意識しました。1本目は前に一歩動いてしまい納得のいかない演技でしたが、2本目はしっかり着地をおさめる演技ができました。
段違い平行棒では、昨年の全日本ジュニアで下り技の2回ひねり1回返しを失敗してしまい不安でしたが、ミスなく通し終え、結果は2位でとても嬉しかったです。
平均台では一つ一つの技を丁寧に行うことができました。しかし、座の2回ターンが決めきれずDスコアを落としてしまったので、次の大会までにしっかりと修正していきたいと思います。
ここまでの3種目で大きなミスがなかったので、最終種目のゆかでは新しく習得した技を入れて攻めの演技をすることができました。今までなかなか4回ターンが認定されたことがなかったので「今回こそは!」という気持ちで挑戦しましたが、今回も回転不足で認定することができませんでした。
しかし、技の着地をおさめることができ納得の演技をすることができました。怪我で思うように練習ができず、苦しく悔しい思いをした時期もありましたが、諦めず続けてきてよかったです。4種目を終え、今までに感じたことのない達成感を得ることができました。そして、無事優勝することができました。
会場まで足を運んでいただいた先生方や、仲間の応援の声が力になり、いい演技をすることができました。やはり自分の力だけではなく、日々支えてくれている家族やクラブの先生、先輩、仲間のおかげです。そしてこの大会を運営して下さっている多くの方々、私に関わっていただいた全ての人に感謝いたします。この感謝の気持ちを忘れず、これからも私らしく、何事にも挑戦していきたいと思います。

選手権2部優勝 中野心愛選手の演技
写真提供:本人

【選手権2部 ベストコーチ賞】

相好体操クラブ

竹澤 千鶴

この度はベストコーチ賞という素晴らしい賞をいただき誠にありがとうございます。この賞をいただけたのも中野選手の努力はもちろんのこと、どんな大会でも選手を必ず応援に来てくださる相好体操クラブ日本社長や、日々、三重県内各地で選手育成に励む中ークラブスタッフ、そして選手をいちばん近くで応援して下さる保護者の皆様のおかげです。心より感謝申し上げます。
今年4月に高校生2人、中学3年生6人、合計8人で班を作り、「全日本ジュニア2部で団体優勝」という目標を掲げメンバー4人選出のための選考を重ねてきました。日頃各教室で練習をしている選手たちは団体戦に臨むのが今大会初めての選手ばかりで、私は「チーム戦の楽しさ」「練習の取り組みがどう試合へつながるのか」を今大会を通じて伝えるために日々彼女たちに向き合いました。
しかし、当初選手は「全国大会で優勝なんて…そもそも全国大会に出たことすらない…そんな目標に向かってできるかわからない…」というのが本音でなかなかエンジンがかかりませんでした。
そこで私は選手のモチベーションを上げるために目標への道筋の明確化から始めました。先輩達の過去の成績を見せたり、目標のDスコア・Eスコアを出し合いそれぞれの現在の立ち位置の共有と把握を行いました。次に目標のDスコア・Eスコアを取るための練習を組み立て、試合や選考会で自分の進捗の把握を行いました。
中には長期的な計画が苦手な選手や、自己評価が低くて落ち込む選手もいましたが、仲間の存在が支えとなり、皆が前向きに取り組むことができました。
結果は団体3位と目標には届きませんでしたが、試合後の選手からは「楽しい試合だった」「団体戦ができてよかった」という言葉を聞くことができ、とても嬉しく思いました。団体で表彰台に登ることができたのも中野選手の力はとても大きく、彼女の練習へ取り組む態度は仲間に大きな影響を与えました。
本大会を通じて、彼女の体操への意識は一層深まり、私やチームメイトに大きな刺激となりました。こうして才能ある選手に出会い、私自身も成長できたことに感謝しています。
大学卒業後、相好体操クラブで指導を始めてから5年が経ちました。選手育成だけでなく、精神的なケアや保護者とのコミュニケーションなど、多くの壁にぶつかりながらも、共に指導に当たる外村先生やクラブの指導者仲間に支えられて、充実したコーチとしてのキャリアを築くことができています。
最後になりますが、このような素晴らしい大会を運営くださった関係者の皆様、クラブ連盟の皆様に心より感謝申し上げます。今後も選手育成に励んでまいります。この度は本当にありがとうございました。

選手権2部 団体優勝
パレットスポーツクラブチームの選手
写真提供:オールスポーツコミュニティ

選手権1部

【選手権1部 個人総合優勝】

ZERo体操クラブ

川上 紗輝

この度、全日本ジュニア体操競技選手権大会の選手権1部において、個人総合優勝することができて大変嬉しく思います。私は全日本ジュニアには小学4年生から6回、そのうち選手権1部には4回目の出場となりました。
選手権1部に初めて参加した中学2年生の頃は、高校生の先輩方とチームを組める喜びや、仲間と一丸となって競技を行う団体戦の楽しさを知りました。有名選手がたくさん出場している選手権1部に出場し、同じ会場で試合ができることに感銘を受けたことを今でも覚えています。
昨年は選手権1部団体優勝・個人総合準優勝という成果をあげることができ、今年も昨年同様に声を掛け合い、盛り上げて楽しみながら試合をすることができました。そしてチーム6人全員が全てノーミスで演技を終えることができました。
私自身の演技を振り返ってみると、1種目目の跳馬で試合の流れを作ることができ、2種目目の段違い平行棒では倒立を狙って着地まで止めることができたので良かったと思います。3種目目の平均台は、今年度に入り試合で失敗が続いていたため不安がありましたが、チームの流れ・チームメイトの応援のお陰で最後まで通しきることができました。最終種目のゆかでは、着地を止めることを意識し、ジャンプ・ターン・4つのタンブリングすべての着地をまとめることができたので良かったです。今回の試合では結果や順位を意識せずに普段通りの演技を表現できました。
今回の結果は、一緒に練習をしてきた仲間、日頃から熱心に指導をしてくださる先生方、いつも支えてくれる家族の協力無しでは到底達成することが出来なかったので、心から感謝しております。
今後はDスコアを上げていきたいと思いますが、Eスコアも落ちないように膝、つま先、倒立姿勢などをさらに意識して練習に取り組みたいと思います。
また、私を支えてくれる人・応援してくれる人への感謝の気持ちを忘れず、目標を高く持ち、日々邁進していきます。
最後に、この大会を運営してくださった多くの方々に感謝申し上げます。ありがとうございました。

1部女子個人総合優勝 川上紗輝選手の演技
写真提供:オールスポーツコミュニティ

写真提供:オールスポーツコミュニティ

【選手権1部 ベストコーチ賞】

ZERo体操クラブ

中泊 芳信

この度はベストコーチ賞という素晴らしい賞を頂きありがとうございます。
また、毎年素晴らしい大会を開催し運営をしていただけていることに心より感謝申し上げます。
今回、優勝した川上選手は小学校1年生から当クラブに所属しております。小学生の頃から活発な選手でありました。身体は小さくとも、目標や夢や態度は大きな選手でした。
川上選手が成長のきっかけになったのは埼玉県の国体強化練習会です。戸田市スポーツセンターの豊島先生を中心に、数年に渡り強化練習を重ねて来ました。豊島先生には特に「美しい体操」を意識する様に日頃からアドバイス頂いております。豊島先生自ら「美しさ」を実践されている方なので、選手達も感銘し共感できたことと思います。
他にも、セインツの録澤先生には沢山補助をして頂き、技のポイント等をご指導していただき、それと同時に素直な気持ちで話が聞けるようにお話しいただいております。
勿論、録澤先生も私も、豊島先生のお話を素直な気持ちで頂戴しております。
そのような練習会を通じて、川上選手をはじめ埼玉の選手が少しずつ成長していると感じています。
これからも豊島先生の教えを従順に守り、川上選手と共に精進してまいりたいと思います。

女子選手権1部 団体優勝
なんば体操クラブ – ngcチーム
写真提供:オールスポーツコミュニティ

エレガント賞

選手権1部

市立船橋高校体操クラブ

角皆 友晴(高3)

この度、全日本ジュニア選手権大会でエレガント賞という素晴らしい賞をいただくことができ、とても嬉しく思います。
日本の体操は昔から「美しい体操」と言われており、内村航平選手をはじめとした美しい体線や膝・つま先などの体の隅々まで力の入った体操を行う選手が多く、この体操は世界に誇れるものだと考えています。
私はそのような演技を見て、その美しさに強い憧れを抱いてきました。しかし私は元々の体線や膝・つま先の柔軟性が十分ではなく、なかなか理想の美しい体操に近づけることができませんでした。
しかし、自分の演技をビデオを使って何度も何度も検証したり、仲間にアドバイスをもらい切磋琢磨しながら練習していくことで、美しく丁寧な体操に見せることはできると考え、常日頃から意識を高く持ち、諦めることなく練習に取り組んできました。
ジュニアクラブの頃は、基礎の練習を徹底的におこない、正しい動きを身につけることで安定した演技を行うことができるようになり、高校入学時は、その安定した演技を活かしながら、演技中の膝やつま先を意識するということを心がけてきました。
体操競技を行う上では、もっとも基礎的で基本的な練習ではありましたが、この二つに重点を置いて練習してきたおかげで、少しずつですがきれいな体操を行う選手と評価してもらえるようになったのだと感じています。
この練習は毎日の積み重ねがとても大切で、なかなか成果が表れないもどかしさもあります。ですが、このような賞をいただけるようになるまで成長できたのは、自分だけの力だけではなく、一緒に切磋琢磨する仲間の存在や、ジュニアクラブ時代の先生、高校の先生、合宿などで様々な先生に指導をしてもらったおかげだと思います。
これからも感謝の気持ちを忘れずに、練習に励み、今後はDスコアを上げつつEスコアを下げないよう取り組んでいきます。
そして「美しい体操」を心がけて日本の伝統を継承していきたいと思います。

エレガント賞 角皆友晴選手の演技
写真提供:オールスポーツコミュニティ

戸田市スポーツセンター

梶谷 香帆(高1)

この度は全日本ジュニア体操競技選手権大会において、エレガント賞というとても素晴らしい賞をいただき、大変嬉しく思います。
エレガント賞を受賞できたのは日頃からご指導していただいている先生方、そして大会運営に携わっていただいた関係者の皆様のお陰です。皆様には感謝の気持ちでいっぱいです。本当にありがとうございました。
私の今大会の目標は、審判の方々が魅了するような演技をすること、そしてチームとして貢献することでした。
今大会の4ヶ月前に肘の手術をし、思うように練習ができませんでした。しかし、そこで諦めるのではなく、今自分に何ができるのかを考え練習してきました。この期間は自分を見つめ直すのにとてもよい機会となりました。
1種目目の段違い平行棒では、Dスコアを完全に戻すことができず、Dスコアを落とし、その分Eスコアを上げることを一番の目標として取り組みました。しかし、完璧に倒立がはまらず、1回ひねりでの膝や車輪でのつま先の乱れが少し目立ってしまったので、今後はより美しさを意識していきます。
平均台では、練習で自信を持って取り組めていたので、試合でも自信を持って楽しく演技ができました。しかし、試合後の動画をよく見ると、膝が緩んでいたり、完全に膝が伸びきっていなかったりとまだまだ完璧ではないので、より綺麗で美しく減点の少ない演技を目指して練習に取り組みます。
床ではDスコアが低いのでEスコアを上げる意識で練習に取り組んでいました。そのために、ターンやジャンプを正しい形でやることをより意識しました。また、動きでは曲に合った動きをし、キメや滑らかさ、目線を意識して演技をすることができました。
跳馬では、Dスコアが低い中、着地や膝、つま先といった細かいところまで意識してできました。跳馬はまだまだ難度が低いので、体にもっと筋肉をつけ、強い蹴り、正しいやり方で難度を上げていけるよう頑張ります。
全体的に私はDスコアが低いので難度を上げつつ、Eスコアをより高くし、より美しい体操を目指します。
来年もエレガント賞を取れるように美しさを一番の武器にし、みなさまが魅了してくださるような演技を目指し、より一層努力をして体力作り、そしてトレーニングに励みます。
本当にありがとうございました。

エレガント賞 梶谷香帆選手の演技
写真提供:本人

ギャラリー

Aクラス入賞選手

Bクラス入賞選手

Cクラス入賞選手

選手権2部入賞選手

選手権1部入賞選手